定時株主総会後に必要な手続について
2019/07/02 総会対応, 会社法
はじめに
東芝は6月26日、定時株主総会を開催し取締役選任決議で車谷会長が99%の賛成率で再任されました。社外取締役の比率も8割を超えるとのことです。定時株主総会の季節も終わりが見えてきました。今回は定時株主総会終了後に会社が行う必要がある手続について見ていきます。
株主総会と招集手続き
株主総会は会社の実質的所有者である株主を構成員とする意思決定機関です。毎事業年度の終了後一定の時期に招集の必要がありますが(会社法296条1項)、基本的には取締役または取締役会が招集決定し(296条3項)、2週間前までに株主に通知していくこととなります(299条1項)。招集通知には総会の目的である議題や書面・電磁投票ができる場合はその旨等が記載されることとなります(同条4項)。それでは株主総会終了後はどのような手続が必要なのでしょうか。以下具体的に見ていきます。
議事録の作成
株主総会終了後まず必要となるのが議事録の作成です(318条)。書面または電磁的記録によって作成することとなります(施行規則72条2号)。記載事項は①開催日時と場所、②議事の経過の要領と賛否などの結果、③出席役員等の氏名、④議長の氏名、⑤議事録作成を行う取締役の氏名、⑥監査役、会計監査人等の意見等となります。旧商法では出席取締役が議事録に署名または記名押印することとなっておりましたが、現行会社法では求められておりません。ただし株主総会で代表取締役を選任した場合には登記上押印と印鑑証明が必要となってきます。そして議事録は本店で10年間備え置くこととなります(318条2項)。
取締役会の開催
株主総会が終了したら取締役会を開催することとなります。定時株主総会後の取締役会では一般的に代表取締役の選定や役員報酬等の配分決定、その他の取締役の役付け、使用人等の選任決定などが行われます。やはりここでも議事録の作成が必要となり、10年間本店で備え置くこととなります(371条)。なお取締役会議事録では株主総会議事録と異なり会社法で出席取締役の署名または記名押印が求められます(369条4項)。
各種登記
株主総会が終了したら2週間以内に登記を行う必要があります(911条1項)。取締役や代表取締役の選任、重任、解任、監査役の設置や募集株式の発行、新株予約権の発行、組織再編等の決議があればその旨の登記が必要ということです。定時株主総会で最も多いのがやはり役員選任です。役員に関する変更登記で必要な書面としては株主総会議事録、就任承諾書、本人確認証明書などがあげられます(商業登記法46条2項、54条1項、規則61条7項)。代表取締役の場合は取締役会議事録、就任承諾書の他に出席取締役等の印鑑証明書も必要となります(規則61条4項、5項6項)。
決算公告
最後に決算公告が必要となってきます。決算公告が求められるのは株式会社で、特例有限会社と合同会社などの持分会社は必要ありません(440条1号、整備法28条)。なお株式会社でも上場会社などの有価証券報告書提出が義務付けられている会社は不要となります(440条4号)。公告は官報や日刊新聞、電子公告のうち定款で定めているもので行いますがWEBにより行うことも可能です。
コメント
東芝の例を一例として見た場合、定時株主総会終了後に取締役会を開催して代表執行役の選定や役員報酬の分配、その他役員の約付けなどが決定され、それらの重任、選任登記等が行われていくものと考えられます。以上のように株主総会は招集決定から開催、終了後の手続とかなり複雑な一連の流れがあり、企業実務上もかなりの負担となります。また決算公告も大規模な上場企業等はより詳細な有価証券報告書の作成が必要となってきます。取締役会設置会社か否かでも手続が変わる部分もあります。自社の規模や上場の有無、取締役会の有無などに合わせてどのような手続が要求されるかを正確に把握しておくことが重要と言えるでしょう。
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