倒産手続きIT化へ議論、会社破産手続きについて
2018/12/13   事業再生・倒産, 倒産法

1、はじめに
 企業の倒産手続きのIT(情報技術)化を目指し、法律の専門家が研究会を設立したそうです。IT化で先行する海外の事例などを参考に、2019年春までに具体案をまとめ、必要なルール整備を政府に求めるとのことです。
 今回は企業が破産した場合の手続を概観し、手続のIT化によってもたらされるメリットなどを検討します。
2、会社破産手続きの流れ
(1)準備
 まず会社破産することのメリット・デメリットを押さえた上で、破産すべきか否かの判断をします。
 破産することが決まったら、会社の状況に応じて、どの時点で活動を停止するのが最適かを検討します。それに合わせて、破産手続申立ての各種準備のスケジュールを立てます。
(2)申立て 
 裁判所に書類を提出し、破産手続きの申立てを行います。といっても、実際に裁判所に行くのは破産手続きを依頼した弁護士のみで、法務担当者などが裁判所に出向く必要はありません。
(3)破産手続き開始の決定
 裁判所が破産手続きの開始を決定すると、破産管財人が選任されます。破産管財人(破産手続開始決定までは候補者)と、今後の処理方針等について打合せをします。この手続きには法務担当者などの出席が必須になるそうです。
 破産管財人が会社の財産を換価する等の任務に着手します。
 法務担当者などは裁判所で開かれる債権者集会に出席する必要がありますが、  担当弁護士も同席するそうです。
(4)破産手続きの終結
 破産手続は、債権者集会、破産財団からの配当を経て、最終的に裁判所による破産手続終結の決定によって終了します。破産手続の終結によって破産管財人の破産財団に対する管理処分権限は消滅し、破産管財人の任務も終了します。破産手続終結決定は、官報により公告されます。
3、コメント
 会社倒産を行うためには上記のような手続を踏む必要があります。一連の手続には多大な費用と時間を費やすため、手続の迅速化・簡素化が議論されています。破産債権者や弁護士などが一堂に会する債権者集会をオンラインで行えるようにすれば、手続のスピードアップ・コスト削減につながるでしょう。また、債権者集会に集えない破産債権者も会社の状況を知ることができるようになるため、より平等な配当が期待されます。
 法務担当者としては、倒産手続きIT化の研究会の動向に気を配り、IT化のタイミングを予見しておかれるのがよいと考えます。IT化によって倒産手続きが利用し易すくなり、自社に対して債務を負う企業が倒産に踏み切る可能性が少なからず高まると予想されるからです。
新着情報
- 業務効率化
 - ContractS CLM公式資料ダウンロード
 
- 業務効率化
 - 法務の業務効率化
 
- ニュース
 - ニデックが東証から指定、特別注意銘柄とは2025.10.29
 - NEW
 - 東京証券取引所が不適切会計で揺れる「ニデック」株を特別注意銘柄に指定していたことがわかりました...
 
- 解説動画
 
浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
 - 終了
 - 視聴時間1時間
 
- 解説動画
 
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
 - 終了
 - 視聴時間1時間15分
 
- セミナー
 
松永 倫明 セールスマネージャー(株式会社Cyberzeal、Viettel Cyber Security所属)
阿久津 透 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/東京弁護士会所属)
- 【オンライン】経営と法務が備えるべきサイバーリスク~サイバー攻撃被害の現実と予防策〜
 - 終了
 - 2025/05/29
 - 17:30~18:30
 
- 弁護士
 
- 片山 優弁護士
 - オリンピア法律事務所
 - 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階 
- 弁護士
 
- 原内 直哉弁護士
 - インテンス法律事務所
 - 〒162-0814
東京都新宿区新小川町4番7号アオヤギビル3階 
- まとめ
 - 独占禁止法で禁止される「不当な取引制限」 まとめ2024.5.8
 - 企業同士が連絡を取り合い、本来それぞれの企業が決めるべき商品の価格や生産量を共同で取り決める行...
 










