商標権を侵害された場合に企業が取れる対策
2016/11/01 商標関連, 知財・ライセンス, 商標法, その他

1 事案の概要
大阪の洋服店6店舗が有名ブランドに似せたロゴマークやデザインが書かれたパロディー商品などを販売していた為、商標法違反の疑いで6店舗の従業員13人が逮捕されました。警察が押収したパロディー商品は数百点にも及びます。
2 商標権
商標とは、事業者が、自己の取り扱う商品・サービスを他人のものと区別するために使用する識別標識です。(正確な定義は商標法第2条1項を参照してください。)商標には、文字、図形、記号、立体的形状やこれらを組み合わせたものなど様々なものがあります。また、商標法の改正により動く商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標及び位置商標についても、商標登録ができるようになりました。 そして、その商標を独占的に使用する権利を商標権と言います。
3 商標権侵害
商標権者は、商標登録から10年間に渡って商標登録出願に係る商標を使用する商品または役務(以下「指定商品・指定役務」という)について登録商標を使用する権利を持つことが出来ます(商標法25条)。
そして、登録商標と同一の指定商品・指定役務に登録商標を使用する行為が「商標権の侵害」となります。
また、指定商品・指定役務に同一もしくは類似する商品・役務に登録商標に類似する商標を使用する行為または指定商品・指定役務に類似する商品・役務に登録商標を使用する行為も侵害となります(商標法37条)。
商標法
経済産業省
4 商標権侵害の罰則
商標権を侵害したものは、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はそれを併せて課されます(商標法78条)。
また、法人の代表者や従業員が業務に関して侵害行為を行った場合には、その代表者や従業員が罰せられることに加えて法人にも3億円以下の罰金が課されます(商標法82条)。
さらに、商標権の侵害行為に該当しない場合でも侵害の予備的行為に該当する場合には、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はそれを併せて課されます(商標法78条の2)。
そして、商標登録されていないのに登録がされているかのような虚偽の表示をした場合には、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が課せられます(商標法80条)。
5 商標権を侵害された場合の企業の対策
商標権を侵害した場合には、懲役又は数百万~数億円の罰金といった重い罰則が侵害者には課せられます。しかし、コピー製品等は無くならず商標権侵害が行われています。このようなコピー製品は粗悪品であることが多いため、それを放置すると企業の信頼を損ないます。
そこで、このような実態に対応するために企業としては対策が必要となります。具体的には企業側から積極的にコピー製品を行っている等の商標権侵害者を探し、警告することが求められます。警告する際には自社で証拠を集めます。求められる証拠は他社製品や他社の広告、自社の商標登録番号や自社製品・役務との類似点です。
そして、警告しても侵害を継続する場合には、侵害の停止を請求できます(商標法36条1項)。さらに、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することも出来ます(同条2項)。
また、損害賠償も請求できます(同条38条)。
6 商標法侵害の事例(不正に改造したiPhoneをオークションサイトで販売)
容疑者は2016年春iPhoneの基本ソフト「ios」を不正に改造したiPhone5台をネットオークションで販売し、販売元のアップル社の商標権を侵害した疑いがかけられています。
7 コメント
商標権侵害され、それを放置した場合には企業イメージや製品イメージを著しく害します。このような場合には厳然たる態度で法的措置(差し止めや損害賠償)を取るべきです。
また、コピー製品を製造・販売を行っている者や企業は懲役又は数百万~数億円の罰金といった重い罰則が課される可能性もありますので即時に止めるべきです。
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