あなたの会社は生産的か?中小企業庁、経営力向上計画 47件初認定
2016/08/11   行政対応, 法改正

中小企業庁は、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」 47件を今年7月29日に初認定した。
中小企業等経営強化法とは、政府が中小企業等に生産性向上のための取組のガイドラインを提示し、そのような取組を行う企業を積極的に支援する法律である。この法律の「経営向上計画」の認定を受けると、税制及び金融支援の面で優遇を受けることができる。
今回の認定は、7月1日の施行から初のもので、製造業32件、非製造業15件あわせて47件が認定された。
この認定は、以下の中小企業の現状と課題を背景とし、中小企業の生産性を高めるものとして期待されている。

cf. 中小企業庁の認定発表、一覧

中小企業全体の状況

昨年、中小企業の経常利益は過去最高水準となり、景況感も改善傾向にある(2016年版 中小企業白書参照。以下、同様。)。

しかし、売上高は伸び悩んでおり、経常利益も大企業と比べると伸びが鈍い。
また、金融の貸出についても中小企業に対してはあまり伸びていない。

そして、中小企業において今、一番問題となっているのは、人手不足と設備の老朽化であると考えられている。
労働者、経営者の高齢化が進み、設備年齢についても、 1993年と比べて、 約1.8倍老朽化していると報告されている。

資料:2016年版 中小企業白書概要

生産性の高い企業と低い企業

このような状況にもかかわらず、約1割の製造業、約3割の非製造業においては、大企業を超える生産性を実現している(2016年版 中小企業白書概要参照。以下、同様)。

まず、設備投資の額などを比較すると、生産性の高い中小企業は、設備投資やIT投資等に積極的 で、一人あたりの賃金が高い傾向にある。
また、高収益企業の方が、計画的かつ積極的に新たな試みに挑戦する傾向にある。
そして、無借金企業よりも適度な借入れのある企業の方が収益力がある傾向にある。

一方で、割合が増えている無借金企業には利益率が低い傾向があり、低収益企業には投資に保守的な傾向がある。
そして、経営者年齢が上がるほど、投資意欲の低下やリスク回避性向が高まる傾向にある(実際に、経営者が交代した企業の方がわずかながら利益率を向上させている)。

つまり、

①無借金企業の割合が増えているが、適度な借入れのある企業の方が収益力がある。
②低収益企業は投資に保守的な傾向が見られるが、高収益企業は、計画的かつ積極的に投資を 行い、リスクへの備えも行っている。
③成長投資を行うためには資金供給元が必要である。
④計画的な事業承継による経営者の世代交代が重要である。

ということになる。

中小企業経営強化法とは?

そこで、このような生産性の高い企業の取組みを事業分野ごとに分析、模倣し、上記①②③をさせることを目的としたのが、中小企業強化法である。
基本方針、事業分野別指針に沿った内容の経営力向上計画を策定し、認定がなされると、対象の固定資産税が半分に軽減され、申請すれば融資や保証の支援が受けられる。
つまり、すでに成功している中小企業の経営ノウハウが紹介してあり、それにしたがって経営計画を立てれば、それ自体によって経営環境が効率化するだけでなく、設備投資のための融資等と税軽減をしてくれるということである。
(概要については、後掲のリンク先を参照)

対象は、中小企業(資本金1億円以下等であり、大企業の子会社ではない企業)であり、
経営力向上計画としては、①自社の事業概要、②自社の現状認識、③経営効率化の方法、見通し、④投資予定の設備、資金調達方法を記載して、申請する。
申請が認定を受けると、ⅰ.生産性が年平均1%以上向上する等であって、ⅱ.価格160万円以上の新品である、機械装置等(金属加工機や複合プレス機など)について、
3年間固定資産税が半額になり、申請により金融支援等も受けられる。

史上初の固定資産税での設備投資減税であり、赤字企業にも大きな減税効果が期待できると考えられている。

cf. ①中小企業経営強化法の概要、まとめ
「中小企業等経営強化法」施行の概要・企業法務ニュース

②実際に申請するには?下記URLの手引き等を参照!
出典:中小企業庁

まとめ

中小企業の現在の状況は、売上高の伸び悩みや人材不足、資金不足、設備の老朽化など、あまり楽観できるものではない。
経営改革(イノベーション)の必要性については、中小企業の半数以上が認識していながら、経営戦略の策定、人材確保、資金調達が障害となっているとの調査結果があり、特に資金調達難が大企業と比較して顕著な割合を占めている。

こういった状況を踏まえると、今回施行された中小企業経営強化法は、イノベーションの指針を提供し、資金調達難を緩和するという点で有効なものといえる。
また、赤字企業が利用できるのも特徴的だ。
したがって、同法の認定を受ければ、業務環境等を変え、生産性を高め、節税以上の効果を企業は期待できる。
もっとも、利用されなければ意味がないので、この法律が周知され、申請が拡大することが重要だろう。

申請書は、実質A4用紙2枚に収まり、郵送も可能なので、対象企業にあたる場合は利用を検討してみてはどうだろうか。

cf. イノベーションの課題・出典:中小企業庁

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