労働者派遣法改正のポイント
2015/09/09   労務法務, 労働者派遣法, その他

事案の概要

 参議院厚生労働委員会は8日、労働者派遣法の改正案を与党の賛成多数で可決した。
 参院で改正案を一部修正したため、衆院で再審議する必要があるが、本改正案は10日の衆院本会議で成立し、改正法の施行は9月30日となる見通しである。
 そこで今回は、今月末に施行を控えた労働者派遣法改正のポイントについて整理したいと思う。

改正のポイント 企業の対策

①派遣期間の見直し
 従来、研究開発、情報システム開発、秘書、通訳・翻訳などの政令で定められた専門業務については期間の制限がなかったが、一般業務と同様に3年が上限となる。
 期間の制限を超えて派遣労働者を受け入れるためには、労働者の過半数で構成される労働組合や過半数を代表する労働者の意見聴取を誠実に行うことが必要となる。
【対策】
・派遣先企業において長く専門業務に従事している派遣労働者など、派遣先企業が3年を超えて継続を望む場合には、派遣元に対して無期雇用に切り替えるように申し入れる。

②派遣労働者の待遇の適正化、雇用安定措置の義務化
 正社員と同一の業務内容であれば正社員と同一の報酬が得られること(「同一労働・同一賃金」)、をはじめ、派遣元及び派遣先に派遣労働者の待遇を適正化することが義務付けられる。
 派遣就業が「あくまで臨時的・一時的である」という考え方が示された一方で、派遣元に対して派遣労働者の雇用が安定するような措置を講じることを義務付ける。
【対策】
・同一の業務に正社員、契約社員、派遣労働者が混在している場合、一つの雇用形態に集約する。
・派遣元は紹介予定派遣を活用する等して、直接雇用につながるように派遣先へ働きかける。

③派遣労働者のキャリアアップを推進
 教育、研修、資格の取得、キャリアカウンセリング等、キャリア支援を派遣元に義務付ける。
 派遣先が正社員を募集する際には、派遣労働者に対しても周知することを義務付ける。

④労働者派遣事業の認可がすべて許可制に
 現行法の下では、派遣事業は特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業に区分されており、特定労働者派遣事業の認可については比較的緩やかな届出制となっている。しかし、今回の改正により、両者の区分を廃止し、すべての労働者派遣事業が許可制となる。
【対策】
・現在、特定労働者派遣事業の届出を行っている事業者は、施行後3年以内に新たに厚生労働大臣の許可を受ける。

コメント

 本改正案に対しては、「雇い止めが続出する」、「罰則の適用事項が少なく実効性がない」等と疑問視する声もあるが、上記のように概ね派遣労働者の抱える問題を改善しようとする内容となっている。
 終身雇用が崩壊しつつあり働き方の多様性が生まれるの現況で、派遣労働者が果たす役割は非常に重要である以上、派遣元はもちろん派遣先も、派遣労働者の就業環境の改善について今一度考えるべきである。

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