派遣法改正は派遣労働者の地位にどう影響するのか。
2015/06/04 労務法務, 労働者派遣法, その他

派遣元企業が負う義務による影響
現行法において、派遣労働者の受入れ期限については、政令で定められたソフトウェア開発等の専門技術的な知識を要する「26業務」とそれ以外の業務とで期間が分かれている(26業務につき期限なし、それ以外は原則1年)。
改正案では業務内容を問わず、上限を3年とする共通のルールが設けられた。そして、派遣労働者が直接労働契約を締結する派遣元企業は、派遣先への再雇用を依頼するなどの雇用安定措置を講ずることが義務付けられる。
これにより、雇用期間の長期化による派遣労働者の再雇用への期待が生じる結果、労働契約法の適用によって、雇用期限の延長(19条)や無期雇用への転換(18条)が、比較的容易に認められやすくなると考えられる。
派遣先企業が負う義務による影響
さらに改正案によると、派遣先が雇用期間制限の決定をしても、派遣労働者が派遣先の過半数労働組合に所属する場合には、その組合を通じて反対意見を求めることで、派遣先に意見聴取の義務が生じることになる。
これを派遣先が怠れば、労働組合法上、労働委員会による行政指導、さらには不法行為責任の対象となり、法的な対応も可能となる。
しかし、派遣先に労働組合が無い場合には、派遣先に対して反対意見を述べる機会や労働組合法上の法的措置を求めることができない。
もっとも改正案において、派遣先に労働組合がない場合でも、派遣先企業にも派遣労働者の均等待遇について配慮する義務が課され、先に述べた雇用元企業の雇用安定措置義務と共に、派遣労働者の地位の安定へとつながることが期待できる。
改正案が施行された場合の問題点
以上のように、今回の改正案は、派遣元との雇用関係の維持、労働組合を通じた派遣先企業の交渉、派遣先における均等待遇の強化により、派遣労働者の地位の向上に貢献することが期待でき、正社員と同等に扱われるようにも思える。
しかし、均等待遇については派遣先の裁量に委ねられ、実際に正社員と同等の保証がなされるとは考えにくい。この問題の解決については、派遣先企業の配慮義務につき、均等待遇において一定の遵守事項を定め、強制力を持たせることで裁量に限定を加えること等の措置が必要なのではないか。
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- 境 孝也弁護士
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奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
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