産業ガスの製造業者及び販売業者による価格カルテル事件、エア・ウォーターの勝訴確定
2014/10/21 独禁法対応, 独占禁止法, その他

事案の概要
産業ガスの価格カルテルを巡って、エア・ウォーターが、公正取引委員会から受けた課徴金納付命令の適否を争っていた訴訟で、東京高裁は、課徴金額の算定における公取委のミスを認め、納付命令を妥当とした公取委の審決を取り消す判決を出した。
公正取引委員会は、エア・ウォーターが他の事業者と共同して、特定の産業ガスの販売価格を現行価格より目安として10パーセント引き上げる合意をし、競争を実質的に制限していたとして、エア・ウォーターによる審判請求を棄却する旨の審決を行った。その際、公取委は、課徴金額を算定する際の基礎となる業種の分類において、エア・ウォーターが他社と共同出資するガス製造会社を実質的に支配しているとして「製造業」と判断し、売上額の10%相当額を課徴金とした。
判決では、同社の持株比率は低く、ガス製造への関与は低いことから「卸売業」と認定し、課徴金額は売上額の2%までであるとしたものである。
コメント
今回の判断に対し、化学業界からは出資比率という形式のみで実質を見ていないとの批判もあるが、エア・ウォーターの主張通り減額が認められた。ただし、今回の判断の前提である価格カルテル自体は公取委でも東京高裁でも争いなく認められている。
平成17年改正で課徴金が引き揚げられおり、カルテルに対する規制強化の方向性がうかがわれる。そのようななか会社法制の見直しの一つの視点として「コーポレート・ガバナンスの強化」というものも注目されており、各企業とも今一度、コンプライアンス体制の見直しを検討するのも必要であるかもしれない。
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