刺された盲導犬。国民の関心高まるか?
2014/09/29 法務相談一般, 刑事法, その他
盲導犬にまつわる法律
7月下旬、さいたま市に住む全盲の男性が連れていた盲導犬が何者かに襲われた。盲導犬を狙った卑劣な犯行である。警察では、現在捜査が開始されている。今回は盲導犬に対する危害について、法的観点から検討してみたい。
現在、盲導犬にまつわる法律は、以下のものがある。
①道路交通法で、目や耳の不自由な人は道路を通行する際、杖又は盲導犬を連れてなければならない(道路交通法14条1項、2項)
②2002年、盲導犬、肢体の不自由な人を助ける介助犬、聴導犬について定めた身体障害者補助犬法が成立した。この法律によれば、国、地方公共団体、不特定多数者が利用する施設の管理者等は、身体障害者補助犬の同伴を拒んではならないとしている。
③身体障害者補助犬に対する傷害は、器物損壊罪(刑法261条)で罰している。また、愛護動物は「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、「動物愛護法」とする)で保護の対象となる。犬は愛護動物となるので、盲導犬への殺傷は2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に問われる(動物愛護法44条1項)
コメント
現在、身体障害者補助犬法では、身体障害者補助犬の同伴を拒んではならないとしているものの(身体障害者補助犬法7条1項、2項)、飲食店や医療機関などは衛生面を理由に身体障害者補助犬の同伴を拒んでいるところも多い。
しかし、身体障害者補助犬は決まった場所で排泄をするよう訓練されており、また障害者は身体障害者補助犬の衛生面の確保が義務付けられている(身体障害者補助犬法21条1項、2項)
こういった事情を行政や障害者団体等が、より積極的にアピールすることで、身体障害者補助犬の衛生面への懸念はある程度払拭できるのではないかと思われる。
また上記埼玉の事例のように、盲導犬に対し危害を加えたり、しっぽを踏んだりする嫌がらせが多く発生している。刑法や動物愛護法にも罰則規定はあるものの、より抑止的な効果を持たせるために、罰則を重くした動物傷害罪のような規定を刑法に設けることも一案として考えられる。
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