3Dプリンターの革命による弊害
2014/08/13 知財・ライセンス, 特許法, 著作権法, その他

3Dプリンターの登場
かつては数千万、数百万円した3Dプリンターが今では7万円以下で手に入れることができる。映画でしかみることが出来なかったものが今では家庭で気軽に作ることができ、この技術の革新には目を見張るものがある。
しかし、技術の新しさゆえに法に対する理解が進まず、これを悪用するものや適正な利用方法につき問題が生じている。
3Dプリンターのメリット、デメリット
3Dプリンターのメリットとしては、今までは作ることが困難だった中空形状・複雑な内部形状も3Dプリンターであれば可能となったこと、部品を一つずつ作るのではなく既に一体化された状態で異なる材料を使い造形出来ること、そして何よりも誰が何個作っても技術力とらわれずに同じものを作ることが可能になったことだろう。
最近の技術力の進化により、精細度が増しただけでなく複数の物性の異なる材料(銅とステンレス等)を混ぜたり、カラーリングも可能となっており使用用途は増えている。
しかし、技術の進化にはデメリットも生じる。スキャン情報さえあれば著作権や知的財産権で守られた構造物や芸術品、キャラクター作品等、本来特定の企業しか作ることが出来ない商品につき、一般人が容易に作ることが可能になり著作権等の財産権が侵害されることなる。
それ以外にも銃や偽造通貨の製造や個人の体型の情報を入力することにより、その人自身の全身像も作ることが可能になる。
法律上の問題
デメリットで挙げた問題に関して、芸術品やキャラクター作品については著作権法30条や、特許法101条、意匠法38条等に違反する恐れがあり、銃や偽造通貨、個人の情報を元に作られた人形等に関しては銃刀法3条、武器等製造法3条、刑法(通貨偽造罪、わいせつ物に関する罪等)や民法(契約・不法行為責任、工作物責任等)等に反する可能性があるため、法律上重大な違法となりうる。
著作権法
特許法
意匠法
銃砲刀剣類所持等取締法
武器等製造法
刑法
民法
これらの問題に対して大日本印刷はいち早くセキュリティプログラムを開発した。
このプログラムは簡単に説明すると、入力されたデータを独自のアルゴリズムで簡素化し、違法であるもの等のブラックリスト対象製品と照合し不法なデータと判断された場合、当該データについては3Dプリンターの作動を停止させ、作成することが出来なくなるシステムである。
3Dプリンターでの危険物製造や著作権侵害を抑えるセキュリティプログラム開発
コメント
3Dプリンターの技術の進化には目を見張るものがある。しかしその分3Dプリンターに対する法の理解が進んでおらず、それゆえ気軽に3Dプリンターで作成したものが違法になる可能性がある。
企業において独自にセキュリティを講じることも必要だが、その法律分野は知的財産法、著作権法から民法、個人情報保護法等多岐にわたり法務部だけで対応することは大手の企業でもない限り難しいだろう。そこで上記に挙げたような他社が作成したセキュリティプログラムを活用することも自己の技術や作品を盗用されることを防ぐためには有用であり積極的にするべきだろう。
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