米作家900人がアマゾンを批判、新聞紙に全面広告を
2014/08/11 海外法務, 海外進出, 外国法, その他
事案の概要
今年5月以来、通販サイト最大手のアマゾンが同サイト上で大手出版社のアシェットの新刊予約や事前の値引きを停止させるほか、同社の本の配送を遅延させるなどの措置をとっている。原因となったのは現在15ドル以上で販売している新刊の電子書籍を「印刷や流通、返品の費用がかからない」として10ドル以下に下げるようにアマゾン側が要求、これをアシェット側が拒否したことにある。ちなみにアマゾン上ではアシェット社のハードカバーの新刊書籍などは20ドル以上で販売されている。
これを受けて米の人気作家スティーブン・キング氏ら900名以上が10日付けの米紙ニューヨーク・タイムズに全面広告を出し、一連の圧力による対応を批判した。作家らは「交渉とは無関係な著者の生活を脅かす」ものだとして批判、読者に対してはアマゾンCEOジェフ・ベゾス氏に意見メールを出すよう呼びかけた。
アマゾン社は契約更新による収益を増やすことが目的ではなく長期的な目で見て出版社、著者、読者にメリットになる値下げを要求しているという。
コメント
アマゾンといえば同社CEOが今年5月ドイツで開かれた労組の国際組織である国際総連合(ITUC)の世界大会で「世界最悪の経営者」に選出されたりと業績面以外でも話題に事欠かない。同大会内では、ある倉庫内業者は1日に24kmもの距離を歩いている、常に行動を監視される端末の携帯を義務付けられているなどの批判が出た。フランスではオンライン書店が値引きした書籍を無料配送することを禁じる法案、いわゆる反アマゾン法によって街の書店文化を守ることを目的とした法律が可決された。日本においても、アマゾンは国内に支店を有しておらず法人税を支払っていないなどと批判されており、海外配信の音楽や電子書籍に消費税を課税することを検討しているという。
世界を代表する企業に対しては賞賛の声が挙がる一方でこうした批判に晒される機会も当然多くなる。その際、法令は遵守している、消費者には利益がもたらされている等とコメントし反発した態度をとるケースが印象に残る。ベゾス氏も「顧客中心」主義を大きく掲げており、あくまで消費者の利益になることをアピールしている。
米作家らが自分たちを「交渉とは無関係」な立場にあると主張しているが、その交渉と最も縁遠いのが一般消費者ではないだろうか。今回の一連の対応によって無関係な消費者が満足なサービスを受けられず被害を被っている。今回の交渉によって値下げが実現すれば最も分かりやすい形で消費者は利益を享受できる。もっとも、労働者に対する過酷な待遇や尊大な対応をとることによってサービスの利用を敬遠する消費者がいることも忘れてはならない。
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