小田急騒音訴訟和解 総額5500万円支払いへ
2014/08/01 訴訟対応, 民事訴訟法, その他

事案の概要
小田急小田原線代々木上原~喜多見間の高架化により騒音被害を受けたとして周辺住民が損害賠償を求めていた裁判は、東京高裁で小田急側が5500万円を支払い、2年以内に騒音対策工事を行うという内容の和解が成立した。
受忍限度論
騒音、日照権、煙害などの損害賠償訴訟において使われる理論。不法行為に基づく損害賠償(民法709条)が認められるためには、受任すべき限度を超える被害を受ける必要がある。
この和解では日中(7:00~22:00)65デジベル、夜間(22:00~翌日7:00)60デジベルが受忍限度とされ、これを超える被害を受けている近隣住民には賠償金を支払うとしている。また2年以内にこの受忍限度以下とする騒音対策工事を行うとされている。
これまでの経緯
この小田急訴訟を巡っては1998年に公害等調整委員会が70デジベル以上の騒音を受けた住民に賠償を認める裁定をしたが、住民側はこれに納得せず東京地裁に提訴していた。2010年、東京地裁はこの和解と同じ基準の騒音を受けた住民に賠償を認める判決を出していたが、住民側小田急側双方が控訴していた。
コメント
この日中(7:00~22:00)65デジベル、夜間(22:00~翌日7:00)60デジベルが受忍限度という基準鉄道騒音訴訟のリーディングケースとなると思われる。
鉄道では踏切による道路交通の寸断が発生し、特に本数が多い鉄道の混雑時にはいつまでも踏切が開かない問題(所謂開かずの踏切)が発生する。高架化はこれを解消する手段として有用であり、今後も多く行われると思われる。一方高架化により騒音源が上になったことで、従来は騒音被害に悩まされなかった高層マンションの住民が騒音被害に悩まされるようになる場合がある。高架化が必要な地域では一般的に高層マンションが多いと思われ、騒音被害が拡大してしまう。
鉄道事業者は高架化を推進する際に、この基準を上回る騒音被害を発生させないように配慮することが求められる。
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