地域ブランドの登録容易に
2014/07/29 知財・ライセンス, 商標関連, 商標法, その他
事案の概要
2014年7月28日、「神戸牛」など地名の入った商品の名称を、地域ブランドとして保護する「地域団体商標制度」について、特許庁が登録に必要な条件を年内にも緩和する方針を固めたことがわかった。従来の審査では、主に隣接地域での販売実績などが判断基準となっていたが、国内の遠隔地や海外での実績も審査対象に加えるという。これにより、ネット取引を主体とする小規模な団体でも商標を申請しやすくなる。
地域団体商標制度は、平成18年4月から受け付けが始まり、これまでに「大間まぐろ」(青森県)や「京友禅」(京都府)など食品や伝統工芸品のほか、「横濱中華街」(神奈川県)、「道後温泉」(愛媛県)なども含め560件以上が認められている。
コメント
現在の「地域団体商標制度」では、原則、近隣地域での一定の認知度を持つことが登録条件になっており、出願者には「隣接する1都道府県以上」での広告宣伝、出荷・販売状況などの実績データが求められている。このため、例えば、ある組合が、海外や首都圏への直接輸送やインターネット販売で一定の販売実績を上げていても、隣接する府県での取引実績がなければ認定されないことになってしまう。同制度の目的は地域の活性化にあるところ、このように登録条件のハードルが高ければ、その目的を達成できないのではないかという問題点がある。
今回の制度変更が実現すれば、問題は解消されることになるだろう。もっとも、登録条件の緩和によって地域ブランドが乱立し、逆にブランド価値を低下させるのではないかという新たな課題がでてくることも考えられる。遠隔地や海外での販売実績の基準を厳格化するなど、地域ブランドの乱立を防止するための策を講じることも求められる。
関連サイト
特許庁ホームページ「地域団体商標制度」
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