【入管法改正】外国人専門家の滞在を容易に、新時代へ対応
2014/06/16   法改正対応, 法改正, その他

事案の概要

高い専門技術や知識を有する外国人向けの在留資格である「高度専門職」の創設などを定める入管法改正案(※1)が11日に参議院本会議で可決、成立した。改正では我が国の経済の発展に寄与する外国人の受入れを促進すべく、「高度専門職」に認定された外国人研究者や技術者について在留期間を無期限にする制度の準備や、出入国審査の手続の円滑化を行うべく審査ゲートの自動化などに対応した制度が定められている。

高度な外国人専門家はより在留しやすく

これまで外国人の専門家で永住許可(※2)を得るためには、技術研究や製品開発、企業経営といった分野でいわゆる「高度人材」(※3)として認められ5年以上在留していることが必要であった。今回の改正により「高度人材」制度に変わる形で、新たに「高度専門職」の区分が創設され、この職に従事する外国人専門家が永住許可を得るまでの期間も短縮される見込みだ。

「高度専門職」は法務省令で定める基準を満たす者で、日本の機関(公私を問わない)で日本の学術研究や経済発展に寄与すると見込まれる以下のような活動とされる。
●研究・研究指導・教育ならびにこれらに関連する事業の経営
●法務大臣の指定する機関で自然科学・人文科学での知識や技術を要する業務ならびに関連する事業の経営
●法務大臣の指定する機関で貿易等の事業や関連事業の経営

外国人にもよりスムーズな出入国審査

現在、パスポートと指紋の照合のみで本人確認を行える「自動化ゲート」を設置するなど、出入国審査の迅速化が進められている。本改正ではこの自動化ゲートの利用対象者をさらに拡大するとともに、出入国管理上のリスクが低く頻繁に日本に入国する外国人ビジネス客などにつき特定登録者カードを公布する制度が創設された。特定登録者の制度により、登録者は上陸許可の証印を省略できるようになるため外国人の出入国審査も更なる迅速化が見込まれる。

※1入管法:正式名称は「出入国管理及び難民認定法」
※2永住許可については法務省のガイドラインにより可否が方針付けられている。ガイドラインによれば、一般の人の永住許可には原則として10年以上日本に在留していることが必要となっている。これへの例外として「外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者」は5年以上でも可とされる。
※3高度人材とは、「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つに分類され、それぞれの特性に応じて、「学歴」、「職歴」、「年収」などの項目から認定される。

コメント

外国人活用を促進するにあたって一般的な労働者まで対象にする、いわゆる移民政策については賛否両論あり国内でも強い反発があることが予想されるが、極めて高い知識・技術を有する外国人専門家が日本に滞在し貢献してくれることに反対する方は少ないのではなかろうか。本改正自体は「高度専門職」という「枠組み」を創設するものであり、有能な人材の日本への取り込みを促進する制度作りの基礎部分といえるものである。今後は関連する省令・ガイドラインの整備により、企業が外国人活用をするにあたって高度専門職制度が実効的な制度になっていくことを期待したい。
また出入国管理の迅速化についても進展が見られたが、外国人ビジネス客が日本に頻繁に訪れやすい制度を整備できれば、有能な外国人の活用が進み経済が活性化するのみならず、外国人ビジネス客が増えることそれ自体が日本での国際会議等誘致や、それに伴う宿泊産業の活性化等の経済効果をもたらすことが期待できるので、今後もこの方針で進展があることが望まれる。

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