著作権保護期間延長の影響を考える
2014/05/26   知財・ライセンス, 著作権法, その他

事案の概要

著作権保護期間について

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の首席交渉官会合において、著作者の死亡後の著作権の保護を70年とすることで調整に入った。従来日本では、音楽や絵画等の著作権は、作品の作者の死後50年間保護されることになる。他方、このような著作権は、アメリカにおいては70年であり、上記協議はこれに合わせての延長であるといえる。

著作権保護の延長の影響について

 上記のように著作権保護される具体例として有名なものは、ミッキーマウスやくまのプーさんがあげられる。今の日本においては、これらのキャラクターを使った製品について著作料を支払っている。そのため、上記のように期間延長されれば、著作料について支払い続ける期間が延長されることになる。
 また、作者の死亡後の著作権保護が延長されることによって、その著作物が市場に流通せずにお蔵入りすることになるおそれも高くなる。というのも、特定の著作物の作者の死後、著作権が保護されている間にそれを利用して製品作成や販売をする場合、その著作権の相続人に連絡を取り、その権利の使用許可を得る必要がある。しかし、著作者の死後にその相続人を探す作業は一般的には困難であり、許可自体を得られないことも多い。そうすると、当該著作使用ができず、結果として著作物がお蔵入りすることになる。上記期間延長は、著作物の使用について相続人の許可を要する期間が延びるということであり、このような事象が起こりうる期間が単純に延びるため、より上記のおそれが生じる可能性が高くなるといえる。

コメント

 期間制限付きで著作物の作者の死後に著作物の著作権を保護しようとする目的は、著作者およびその相続人の著作権を保護しつつ、社会における著作物の公正な利用を図ることにある。そのため、期間制限付きで著作権を保護することにも一定の合理性はあるように思われる。
 しかし、上記期間延長をする場合には日本の企業においては不利益も生じる。というのも、ミッキーマウスやくまのプーさんといった日本の企業も多額の著作料を支払っている著作物についても延長が適用される。その結果、その著作料の収益がアメリカ等の外国企業に入る期間が20年延長されることになる。他方において、かかる収益は、得る側からすれば、大きな利益であることは間違いない。
 もっとも、かかる利害対立は、本来の期間制限つき著作権保護の目的のうち、著作者の著作権保護がおざなりになるきらいがあり、他方において、著作物の公正な利用という観点からも望ましくはないと考えられる。著作権保護のためにあるはずのルールが、既得権を守るために使われているのでは、との疑問がある。
 かかる期間制限の議論は、著作権保護というルールの本題に沿って行われるべきではなかろうか。

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