株主総会招集通知のグッド・プラクティス事例を公表~評価される株主総会招集通知書とは~
2014/05/13 商事法務, 総会対応, 会社法, その他
経済産業省は5月9日に「株主総会の招集通知のグッド・プラクティス事例」の調査結果を公表した。これは企業と投資家の間のコミュニケーションを円滑にすることが、企業の価値向上に繋がることから、コミュニケーションの重要な手段である総会招集通知書に関して、機関投資家が重視する点をまとめたものである。以下では同報告書の内容について概観したい。
招集通知のグッド・プラクティス事例調査結果の概要
総会招集通知書に関して機関投資家が重視する点は形式的には、招集通知の発送が十分に早期であり、事業報告や議案等が全体的に分かりやすく記載されていることである。
また招集通知書の内容面に関して重視する事項としては、①取締役の選任②監査役の選任③買収防衛策④役員報酬⑤剰余金の処分⑥定款の変更等である。以下ではそれぞれの点について詳しく見ていく。
①取締役の選任
取締役の選任に関しては、特に社外取締役についての事項が重視されるとのことである。社外取締役の選任理由、属性、独立性、そして社外取締役の活動状況に関する情報が十分に説明されていることが重要である。
また取締役候補者の顔写真、経歴、選任理由、抱負が記載されていることが良い事例として挙げられている。
②監査役の選任
取締役同様に、社外監査役の選任理由、属性、独立性、そして社外監査役の活動状況の説明が十分なされていることが重要である。
③買収防衛策
防衛策導入の経営戦略上の必要性の十分な説明、買収防衛策の発動条件の詳細な提示、濫用防止の歯止めに関する説明、独立委員会メンバーの属性の明確化等が重視されている。
④役員報酬
役員報酬の制度設計を明確化することが最も重要である。業績に連動して報酬額が決定されることが記載されているなど、報酬制度を経営戦略の一環として説明しているものが良い事例として挙げられている。
またストックオプションのスキームに関し、株主共同の利益への影響が明確になっているかも重要視されている。
⑤剰余金の処分
中長期的な経営戦略に整合する配当方針が示されていること、その配当方針が株主にとっ
て適切である根拠が示されていることが重要である。
⑥定款の変更
変更事由の明確な説明、変更内容が経営戦略と整合していることの提示が重要である。また株主に影響のある変更箇所を十分に説明していることも重要視される。
コメント
今回の調査は、株主総会について熟知している機関投資家を対象として行われたものであるが、報告書に記載されている事項はプロの投資家からのみならず、一般的にも評価されうるものであろう。
また近時は株主総会に出席できない株主も、電磁的方法によって議決権行使が可能となるなど株主総会のIT化も進んでいる。
このように、より多くの株主が総会に参加しやすい状況になっていることからすれば、一般向けにも分かりやすい招集通知書作成がますます重要になっていくであろう。なお、同報告書のより詳しい内容に関しては以下のサイトを参照されたい。
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