【シンガポール】知的財産の紛争解決に関する新たな枠組みを導入
2014/04/23 海外法務, 海外進出, 外国法, その他
新たな枠組みの概要
シンガポール知的財産庁(IPOS)は、知的財産を巡る紛争についての新たな解決手続きの導入を発表した。これは知的財産を巡る争いに関して、世界知的所有権機関の仲裁センター(WIPO AMC)と協力して対処しようというものである。
現状ではシンガポールの特許関連のあらゆる争いは、シンガポールの特許審査官が裁定している。
発明者や権利付与を巡る紛争や特許の取り消しの問題などは極めて複雑であり、科学的、技術的な知見を要するものである。シンガポール政府は知的財産関連の専門家の育成にも力を入れているものの、その効果はまだ十分とはいえず、知財を巡る紛争も長期化する場合が多い。
そこで今回の新案ではWIPO AMCと共同して、外部の専門家に上記のような問題の仲裁を依頼できるようにしたものである。
WIPO AMCには、世界中の知的財産に関して高い専門性を持った専門家が属していて、紛争当事者はその中から、適切な人材を選択することができる。
当該専門家による仲裁手続きは原則非公開であり、その決定は拘束力を有する。もっとも非拘束の決定を選択し、当事者はそれを基に合意に向けた交渉をすることもできる。
この手続きによって、紛争解決までの費用負担の軽減と期間の短縮が期待できる。費用面に関しては約6000シンガポールドル(約49万円)での裁定が期待できる。また裁定までの期間は当事者の選択により最短で60日、長くても120日となる。
コメント
シンガポールはアジア地域において、知的財産のハブとしての機能を担うという構想を有している。この構想はシンガポールを知的財産の管理拠点、登録拠点、紛争解決拠点の3つとして機能させようというものである。
現在でもシンガポールは国際的紛争において仲裁地として利用されることも多いが、今回の枠組みの導入は、知的財産の紛争解決拠点としての機能をより強化する狙いがあるといえる。
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