「プロ向けファンド」規制へ、証券取引等監視委員会が要請の方針
2014/04/14   金融法務, 金融商品取引法, 金融・証券・保険

事案の概要

ハイリスクな金融商品を扱い運用するプロ向けファンドについて一般投資家との間でトラブルが多発していることを受け、証券取引等監視委員会は今月中にも金融商品取引法の政令の改正により勧誘の要件を厳しくするよう求めることにした。集団から投資を募るファンド制度の悪質な濫用を抑制し消費者を保護したい方針である。

プロ向けファンド業務(適格機関投資家等特例業務)は、勧誘の相手先が基本的に証券会社や銀行といったプロの投資家(適格機関投資家)であることから、ファンドを扱う場合でも第二種金融商品取引業としての「登録」を行う必要がなく、「届出」のみで良いとされ金融商品取引法上販売勧誘規制が大幅に緩和されている。また、政令によりプロの投資家1人以上に対し49人以下の一般投資家にもファンドの取得勧誘が可能であるため、一部のプロ向けファンド届出業者がこれを利用し、高齢者を中心として投資経験の乏しい者に不適切な勧誘を行うなどトラブルが多発していた。

証券取引監視委員会や独立行政法人国民生活センターは以前より悪質なプロ向けファンドに対して注意を呼びかけており、11日には個人からファンドとして集めたお金の不正流用を疑われた2業者に対して金融庁からの警告書も出ている。

コメント

高度に発展した経済社会において、利益やリスクの回避、法制税制の状況に応じて金融商品は複雑化の一途をたどっている。こうした状況下では一般消費者は全容をつかめないうちに、専門的知識を背景とした業者に言いくるめられ金融商品を購入してしまうケースは多いだろう。また問題は純粋な消費者に限らず、資産運用を目的として金融商品の購入を検討する法人にも及ぶ。一般投資家は金融商品の導入には十分な注意を払った上で、今後の法規制も合わせて注視する必要があるだろう。

関連条文

金融商品取引法
第六十三条
第一項
次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。
第一号  適格機関投資家等(適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(その数が政令で定める数以下の場合に限る。)及び適格機関投資家をいう。以下この条において同じ。)で次のいずれにも該当しない者を相手方として行う第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に係る私募(適格機関投資家等(次のいずれにも該当しないものに限る。)以外の者が当該権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものに限る。)
第二項
適格機関投資家等特例業務(前項各号に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。以下同じ。)を行う者(金融商品取引業者等を除く。)は、あらかじめ、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を内閣総理大臣に届け出なければならない。

金融商品取引法施行令
第十七条の十二 第二項
法第六十三条第一項第一号 に規定する政令で定める数は、四十九とする。

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