不祥事を予防するには
2013/11/05   コンプライアンス, 危機管理, 民法・商法, その他

事案の概要

 20代社員の4人に1人は「職場がブラック企業」と認識している--。職場の違法状態を把握した社員で何らかの行動を起こす者は半数以下--。連合系の調査機関である「連合総研」は10月31日、民間企業の社員に対して行ったアンケート調査(第26回勤労者短観「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」)の結果を発表した。

調査結果によれば、20代社員の24%、30代社員の21%が自分の勤め先をいわゆるブラック企業であると認識しており、40代の15%、50代の11%、60代の9%を上回る。

 職場で何らかの問題状況があるとの認識は6割にのぼる。3人に1人は職場で心身の健康を害した者がいると認識しており、長時間労働が日常化しているとの認識も3割にのぼる。

 また、過去1年間に職場で違法状態があったと認識している者は29%おり、具体的には、「払われるべき残業代(全部または一部)の未払い」が19%、「有給を申請しても取れない」が14%と主な理由となっている。
 
 違法状態を経験した場合に何らかの行動を起こすと回答した者は半数以下の45%にとどまり、「何も行動しないで現在の職場に残る」が14%、「何も行動しないで現在の職場をやめる」が18%、「わからない」が23%を占めた。

 では、違法状態を経験した場合、どのような行動にでるか。これについては、全体では48%が「職場の上司・経営者に話す」としており、「職場の同僚に相談する」が39%、「労働基準監督官に申し立てる」と「家族に相談する」がいずれも36%と上位を占めた(複数回答可)。年代別では、若い世代ほど同僚や家族といった身近な存在への相談が多く、年代上がるにつれてその割合が下がっている。他方、年代が上がるにつれ労働基準監督官への申立て等、行政機関を利用する割合は高くなり、若い世代との差は顕著である。

 調査は10月1~6日、首都圏および関西圏の民間企業で働く20~64歳の男女2千人を対象にインターネットを用いて行われた。

コメント

 みずほ銀行の不正融資問題、阪急阪神ホテルズの食品偽装問題、そして、ヤマト運輸のクール便問題。昨今明るみに出ている一連の不祥事は、いずれも役員や現場の社員が問題を把握しながらこれを放置していたケースといえる。今回の調査で明らかになったように、問題があると認識しながら何も行動に出ない社員は多い。何らの行動に出ないことが積み重なることで問題は常態化される。
 企業にとって、不祥事を予防するに越したことはない。そこで、予防策が必要となるが、それは何も社外取締役を設置するといった目に見えることにとどまらない。むしろ、社員の危機意識は必ずしも高くないという今回の調査結果をうけて、定期的な研修等、社員の意識を改革していく方策を設けることが重要であろう。

関連サイト

連合総研 第26回勤労者短観「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」

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