社員のモラルを管理せよ―自転車条例、東京で来月施行―
2013/06/14   法務相談一般, 民法・商法, その他

東京都版自転車条例、来月1日施行

 昨今の自転車ブームにともない、放置自転車問題が深刻化している。特に通勤用自転車については、東京駅等の都内主要駅においてかねてから問題視されていた。京都府や福岡市などの自治体や都の特別区では既に類似の条例が施行されているが、自転車の利用に関して、企業の本社が集積する東京都がいよいよ条例による規制に乗り出すこととなった。
義務に違反した場合は勧告(第38条)、勧告に従わない場合は公表(第39条)と言う法的リスクがある。法務担当者としては、施行直前のいま、ぜひ確認しておきたいところである。

条例のポイント

この条例について、事業者に関係する最も重要な部分は、駐輪場所に関する事業者の責任を定めた部分であろう。すなわち、

 事業者には、自転車通勤する従業員のために駐輪場所を確保するか、従業員が駐輪場所を確保していることをその従業員に対して確認する義務がある。(i)従業員を新たに雇ったとき、(ii)従業員の通勤の経路、手段等が変わったとき(ⅲ)平成25年7月1日(条例施行日)に在職している従業員については、その日以降速やかに所定の書面により行わなければならない(第30条)。

これらの規定についての東京都の見解について以下まとめておく。

①「事業者」は、施設単位、営業所単位で考える。したがって、都外に所在する支社については、都内に駐輪して都外に通勤する従業員についてであっても確保・確認義務はない。
②通勤手段を社員に任せていると言う理由では、事業者は免責されない。ただし、就業規則等で通勤手段を公共交通機関に限定している事業者等は、確保・確認義務の対象外。
③「従業員」の範囲は正社員に限られない。役員やアルバイトも例外ではない。もっとも、1月以上雇用することが見込まれない従業員については、確保・確認を行わないことができる。
③「通勤」には、従業員が自宅から駅やバス停まで自転車を利用している場合など、「通勤の途中で自転車を利用している場合」も含まれる。ただし、都外の駐輪である場合は適用されない。
④「通勤」には、事業者が、従業員に対して臨時に得意先に寄ってからの出勤を命じるなど、いわゆる出張のような扱いになるものは含まれない。
⑤「駐輪に必要な場所を確保している」とは、単に「自転車を駐輪できる場所がある」ことを意味するものではなく、「駐輪場を利用するなどして、道路交通法に違反せずに正しく駐輪できる場所を用意している」ことを意味する。したがって、道路上に駐輪していることを確認したからといって、条例上の義務を履行したことにはならない。
⑥「確認」は書面の確認が原則であるが、社内システムの入力でもかまわない。
⑦「確認」は通勤の経路変更、手段変更等があった場合に行い、契約(更新)のたびに行う必要はない。
⑧複数の駅を利用していたり、最寄駅周辺に複数の日極め駐輪場があるなどして、通勤自転車の駐輪場が日によって変わる場合、例えば「○○駅周辺の公共駐輪場のいずれか」というように、正に「駐輪場所」を確認したと言える程度に特定している必要がある。「◯◯駅周辺」といった範囲に留まる場合はNG。

※より詳細な事項については、東京都のホームページを参照されたい。

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