西武HD再上場めぐり対立泥沼化 米サーベラス、西武HDにTOB実施へ
2013/03/12 戦略法務, M&A, 会社法, その他

概要
西武ホールディングス(HD)の筆頭株主である米投資ファンドのサーベラスは11日、西武HDの株式を買い増すため、株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。出資比率を現在の32.4%から、株主総会で特別決議を拒否できる3分の1超へ引き上げ、経営への影響力を強める。6月の株主総会で、五味広文元金融庁長官など3人の取締役選任も提案する。TOBは12日から4月23日まで実施。議決権ベースで36.44%を上限に、西武HDの普通株式を1株1400円で買い付ける。取得額は最大で約191億円。
五味氏のほか、生田正治元日本郵政公社(現日本郵政)総裁と白川祐司あおぞら銀行取締役を取締役に選任することも提案する。サーベラスはTOBについて「企業価値を向上させるのが目的。買収が目的ではない」と説明する。
ただ、同社は西武HDが計画する再上場で、株式の売り出し価格が低いとして経営陣と対立している。西武HDは「事前同意はしていない。株主には慎重に行動するようお願いする」とのコメントを発表。株主総会での委任状争奪戦(プロキシー・ファイト)に発展する可能性もある。
また、これに関し、菅義偉官房長官は12日午前の記者会見で、「(西武HDは)地域の交通移送の役割を果たし、(保有するプロ野球)球団にも多くのファンがいる。できればあまり先鋭的な形にならないよう解決することが望ましい」と述べている。
TOB
TOB(株式公開買付け)とは、ある株式会社の株式等の買付けを、「買付け期間・買取り株数・価格」を公告し、不特定多数の株主から株式市場外で株式等を買い集める制度のことである。
日本における証券取引は、金融商品取引法において規制されており、一定量以上の証券取引を行う場合、公開買付けが義務づけられる。同法第27条の2により、有価証券報告書の提出が義務付けられている株式会社等(証券取引所に上場する株式会社など)の「株券等」を発行者以外の者が市場外で一定数以上の「買付け等」をする場合などには、原則として公開買付けによらねばならないと定められている。
また、現在、西武HDは非公開会社だが、有価証券報告書の届出が義務付けられており、3分の1以上の株式取得にはTOB手続きが必要となっている。
参照条文
金融商品取引法
第27条の2
会社法
第309条
コメント
TOBの背景には、東京証券取引所への上場を急ぐ西武HDの経営陣とサーベラスとの対立がある。西武HDは昨年10月までに東証に上場を申請。より有利な価格で保有株を売り出したいサーベラスは上場申請の取下げを求めてきた。
総会での拒否権を持つことで圧力を高め、西武HDの経営陣との話し合いを有利に運ぶ狙いなどがあるとみられる。
今後は6月の株主総会に向けて、委任状の争奪戦に発展する可能性があり、今後の西武HDとサーベラスの動向が気になるところである。
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