面白い恋人訴訟、和解へ
2013/02/14 知財・ライセンス, 商標関連, 商標法, メーカー

事案の概要
北海道の人気土産菓子「白い恋人」を製造販売する石屋製菓(札幌市)が、パロディー商品「面白い恋人」を販売する吉本興業(大阪市)などに販売差し止めと損害賠償を求めた訴訟は13日、札幌地裁(浅井憲裁判長)で和解が成立した。パロディー性は事実上認め、著名商標の販売への直接的な影響を回避する内容で、吉本興業側がパッケージデザインを変更した上で原則として関西6府県での販売に限定。賠償金は支払わないことにした。
吉本興業側は今後も「面白い恋人」の商品名を使用し、4月にデザインを変更し販売を継続する。百貨店が全国で開催する物産展で販売する場合は、北海道と青森県を除き、年36回まで認める。
訴訟で石屋製菓側は「名称や、白を基調に青や金を配した箱の図柄が似ている」と商標権侵害を主張したが、和解について、「販売地域が限定され、デザイン変更で誤認混同の恐れがなくなった」と説明。吉本興業側は「互いに納得のいく和解ができた。新しい図柄は石屋製菓側と話し合って決める」としている。
コメント
商標とは商標法2条に定義があるが、簡単に言えば商品やサービスの出所(誰が提供しているか)を識別するためにつけるマークである。
商標登録がなされ商標権が発生すると登録商標を独占的に使用できるようになる(商標法25条)。また、第三者が指定商品又は指定役務と同一または類似する商品又は役務に自己の登録商標と同一又は類似の商標を使用することを排除することができる(商標法36条)。
類似するか否かは特許庁の示した3要素(外観、称呼、観念)で判断する。本件はこの判断を巡って争われた。
面白い恋人とは面白いことを考えたなと思う。吉本興業側も、「弊社は、吉本興業なりの「笑い」と「ユーモア」が詰まった商品を数多く世に送りだし、これを手にしたお客様、その商品を贈ってもらった方全てに、小さな笑いと笑顔を持ってもらい、心を明るくしてもらいたい、それを、一つの地方から日本全国に広げていきたいという思いを持って商品開発に取り組んで」きたものであり、「決して、石屋製菓様のブランドを貶めるというようなことや、石屋製菓様の商品の著名度を利用して不当な利益を得ようなどというつもりで開発した商品ではない」としており本心であるように思える。他方で主目的ではないにせよタダ乗りの形になってしまっていることも否定しがたい。争うことは本意ではなく和解は当然に予想された決着といえよう。
参考条文
【商標法】
第二条 この法律で「商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
第二十五条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。
第三十六条 商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
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