ドクターシーラボが家庭用美顔器の広告で景品表示法違反
2012/09/04 広告法務, 景品表示法, メーカー

概要
化粧品・美容機器メーカーのドクターシーラボが、家庭用美顔器「DR-Sonic L・I」の効用について同社の会報誌に記載したところ、その表現が、一般消費者に対し、商品の効用について実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、不当景品類及び不当表示防止法(以下、「景品表示法」と略す。)に違反するものであるとして、消費者庁より、一般消費者への周知徹底、再発防止策の実行、同様の表現の禁止等を含む措置命令を受けた。
ドクターシーラボは、「DR-Sonic L・I」について、平成22年12月から1年間かけて同社の会報誌「CI:Lover」に掲載し、対象商品を使用することにより、細胞の活性化、脂肪分解効果、殺菌効果、肌の汚れの除去効果又は肌への美容成分の浸透効果が得られると認識される表示をしていた。具体的な表示は下記①から⑤の通り。
① 微細な振動が角質層を通って真皮層も活性化。新陳代謝が促され、肌の弾力を支えるエラスチンやコラーゲンの産生をサポートします。
② すぐれた超音波機能により、なでるだけでお腹や二の腕などについた余分な脂肪を分解。むくみもとれて、気になる部分のシェイプアップに効果的です。
③ アクネ菌や皮脂腺の殺菌効果でニキビケアに効果的。
④ 微弱な電流を利用して美容成分をイオン化し、電気の流れととも肌の深部へ送り込みます。通常のお手入れでは浸透しづらい美肌成分も、電気の力でぐんぐん肌へ浸透します。
⑤ 排気ガスやメイク汚れなど、プラスの電気を帯びた汚れをマイナスイオンの力でしっかり吸着します。
上記①から⑤の表示について、消費者庁は、景品表示法4条2項に基づき、ドクターシーラボに対し、裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、ドクターシーラボから資料が提出されたが、裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかったと判断。そこで、同庁は、景品表示法6条に基づき、ドクターシーラボに対し、下記①から③の措置を講ずるよう命令した。
① 上記表示は、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を、一般消費者へ周知徹底すること。
② 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
③ 今後、同様の表示を行わないこと。
措置命令を受けたドクターシーラボは、希望者に対して「DR-Sonic L・I(種別:美容機器)」の返品及び返金の対応を行う方針だ。
コメント
景品表示法は4条1項1号で、商品・サービスの内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるものを、不当表示として禁止している。その上で、同法4条2項は、消費者庁長官(同法12条1項により内閣総理大臣の権限を委任されている)がこの種の不当表示に該当するかを判断する必要がある場合には、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができると定める。事業者が資料を提出しない場合や、提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、その表示は不当表示とみなされることになる。不当表示とみなされたときは、消費者庁長官は、同法6条により、事業者に対し、その行為の差止め、その行為が再び行われることを防止するために必要な事項、これらの実施に関連する必要な事項を命ずることができる。
景品表示法は、商品の不当表示による顧客の誘引を防止するために、一般消費者による自主的・合理的な選択を阻害するおそれのある行為を制限・禁止するものである。しかし、本件のドクターシーラボのように、実際の効果を誇張した表現を使って商品の宣伝を行っている美容機器・健康機器はかなり多く、しかも、専門知識の無い一般消費者は実際の効果について購入前に判断することができない。本件の措置命令が、当事者のドクターシーラボだけでなく、業界全体が誇張宣伝の見直しを行う契機になってほしい。
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