イギリス資源大手とチリ銅公社が鉱山権益訴訟で和解
2012/08/27 訴訟対応, 民事訴訟法, 商社

概要
三井物産と三菱商事を巻き込み、チリ銅鉱山権益をめぐって訴訟合戦を続けてきた英アングロ・アメリカンとチリ銅公社コデルコは、23日和解で合意した。
そもそも、アングロとコデルコが争っていたのは、アングロのチリ銅山子会社アングロ・アメリカン・スール(AAS)の巨大な銅の権益である。AASはチリに複数の銅鉱山や未開発の銅鉱床を持ち、年間40万トンの銅を産出している。アングロが昨年11月にAAS株の24.5%を53億9000万ドルで三菱商事に売却したことにコデルコが反発し、過去の契約に基づきAAS株49%を自社に売ることを求めて提訴したとの経緯がある。
今回の和解で、三井物産はコデルコと提携してAAS株の29.5%を共同保有することとなった。三井物産が17%出資する合弁会社が、9月中にもAASの親会社であるアングロから株式を約30億ドルで取得する。 三井物産はコデルコへの19億ドルもの融資という痛みを甘受することで、国家予算の2割弱を稼ぐコデルコと悲願であった包括提携を達成する。他方で、三菱商事もAAS株24.5%のうちの4.1%の放出という痛みを甘受することで、アングロ・アメリカンとの提携拡大の可能性を得ることになる。
コメント
今回、三井物産・三菱商事両社が「損して得取れ」の方針を貫いたことが和解につながったと言える。
本件に限らず、短期的な不利益に目を向けるのか長期的な利益に目を向けるのか悩ましい事案は少なくないはずだ。そんな時に、決断を下す鍵となるのは、結局はバランス感覚なのではないだろうか。
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