北越紀州、大王創業家の株式取得完了
2012/08/15 商事法務, 戦略法務, 会社法, メーカー
概要
大王製紙と資本提携で合意している北越紀州製紙が、今月15日、大王製紙の創業家が保有する同社株式をすべて買い取り、持ち株比率(議決権ベース)を2.86%から22.29%に引き上げて、大王製紙の筆頭株主となった。これにより、業界首位の王子製紙、2位の日本製紙グループ本社に次ぐ売上高6400億円規模の3位連合が誕生し、大王製紙は、その損益の一部が北越紀州の業績に反映される「持ち分法適用会社」となる。
大王製紙では、昨年秋に発覚した創業家出身の井川意高前会長による関連会社からの巨額借入れ事件をきっかけに、創業家と経営陣が対立する事態が発生したため、大王製紙と提携関係にある北越紀州が仲介に入り、同社が大王株式を創業家から取得することを柱とする内紛の収拾策がまとまったことが、背景にある。
両社は技術・資本提携を協議する「提携推進委員会」を拡充し、将来の経営統合も対象に協議を進める方針だ。また創業家から北越紀州製紙が大王製紙の関連会社18社の株式についても、大王製紙へ譲渡された。これにより大王グループは平成23年9月時点の37社体制に戻ることになる。
北越紀州製紙による仲介により、創業家は大王グループとの資本関係がなくなり、「お家騒動」に終止符が打たれたといえる。
コメント
創業家と大王製紙とのつながりが完全に断たれたことにより、少なくとも大王製紙の財務事情に不穏な影が陰るおそれは払拭されたといえるが、北越紀州製紙の株主総会において、株主から筆頭株主となることの効果に関する質問がなされるなど、株主の不安は否めない。やはり、井川前会長による巨額借入れ事件が大王製紙のイメージを大幅に低下させたことに起因するものと言わざるを得ない。つまり、大王製紙と提携してもマイナススタートであり、その不利益を巻き返せるかが今後の北越紀州製紙の展開で試されるところである。
大王製紙が14日発表した2012年4~6月期連結決算では、最終損益が3億円の黒字(前期は12億円の赤字)に転換したことから、ひとまずは、軌道に乗ったといえる。大王製紙としては、今後も提携企業とクリーンな関係を維持しつつ、自社が刷新したことを示していくことが地道ではあるが、確実な改善策といえよう。
関連コンテンツ
新着情報
- 業務効率化
- Lecheck公式資料ダウンロード
- 解説動画
- 浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間
- まとめ
- 株主総会の手続き まとめ2024.4.18
- NEW
- どの企業でも毎年事業年度終了後の一定期間内に定時株主総会を招集することが求められております。...
- 解説動画
- 大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
- 終了
- 視聴時間1時間
- ニュース
- 金融庁にルール変更の動き、「真の株主」把握しやすく2024.4.19
- NEW
- 金融庁は株主名簿に載らないが、株主総会で議決権を持つ実質的な株主を企業が把握しやすくするよう...
- 弁護士
- 淺田 祐実弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 弁護士
- 髙瀬 政徳弁護士
- NEW
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階
- セミナー
- 原 武之弁護士
- 松本 健大弁護士
- 【リアル】紛争・クレーム・不祥事案件の対応方法 -法務担当者向け 法務基礎シリーズ-
- NEW
- 2024/06/20
- 15:30~17:00
- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード