職業紹介等に関する制度の改正の動きまとめ
2017/01/06 労務法務, 労働法全般, 人材

はじめに
厚生労働省が発表している職業紹介事業の事業報告の集計結果(平成26年度)によると、求人数が前年度の約25%も増加していることがわかります。求人数が増加していく中で、実際とは異なる虚偽の賃金や待遇を示して求人をした企業もあることが問題となっています。平成28年12月13日、厚生労働省は、職業紹介等に関する制度の改正について建議を行い、平成29年通常国会への法案提出に向けて動いてることを発表しました。その中で、実際とは異なる虚偽の賃金や待遇を示して求人をした企業に対する罰則を強化する方針を盛り込んでいるようです。そこで今回は、職業紹介等に関する制度の改正の動きについてみてみます。
求人数の動きや、職業紹介事業の運営状況をみてみましょう。(出典:厚生労働省 職業紹介事業の事業報告の集計結果(平成26年度))
職業紹介等に関する制度の改正について(出典:厚生労働省)
職業紹介事業制度の概要
職業紹介とは、仕事を求めている「求職者」と人材を求めている「求人者(事業主)」からそれぞれ求職と求人の申込みを受け、求職者と求人者の間に雇用関係(労働契約)が成立するようにあっせんすることをいいます。
職業紹介事業は、国がハローワーク(公共職業安定所)を通して行うほか、多くの民間職業紹介事業者によって行われています。
職業紹介を行うにあたっては、労働条件(募集条件)を求職者に明示すること、具体的には、従事すべき業務の内容、労働契約の期間、就業場所、労働時間、賃金等の明示が義務づけられています(職業安定法5条の3、職安法施行規則4条の2。なお、この点については、求人者もハローワーク等に対し労働条件(募集条件)を明示することが義務づけられます)。
職業紹介事業制度についてまとめられています。(出典:厚生労働省)
職業紹介事業に係る法令・指針がまとめられています。(出典:厚生労働省)
職業安定法はどのような法律なのか?(出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構)
年度毎の指導監督実施の件数や行政指導の件数の動きを確認できます。(出典:厚生労働省 職業紹介事業に係る指導監督実施状況(PDF))
職業紹介等に関する制度の改正について
平成28年12月13日に発表された報告書には、(1)労働条件等の明示、(2)指導監督、(3)罰則について記載されています。特に、現行の職業安定法では、チラシやネットの広告で虚偽の求人をした企業や担当者に対しては、懲役6カ月以下または罰金30万円以下の罰則があります。しかし、公共職業安定所(ハローワーク)や民間の職業紹介会社を通じた求人では、虚偽の条件の仕事をあっせんした紹介会社への罰則はありますが、求人を出した企業に対する罰則はありません。これを改め、求人を出した企業も罰則の対象としました。
また、一定の残業が前提の「固定残業代」と基本給を合わせた額を「給与」とだけ示し、残業をしなくても高い給料がもらえるように見せかける手口が後を絶たないため、求人で提示する給与について、固定残業代に係る計算方法や固定残業代を除外した基本給の額等を明示しなければならないとし、残業代を除いた明確な金額を示すよう企業に義務付けています。
発表された報告書には、事業毎にどのような点を改正するのかを詳細に記載されています。(出典:厚生労働省 職業紹介等に関する制度の改正について(報告書)(PDF))
終わりに
厚生労働省は、この報告書の内容を踏まえ、平成29年通常国会への法案提出に向け、法案要綱を作成し、労働政策審議会に諮問する予定です。現段階では、公共職業安定所(ハローワーク)や民間の職業紹介会社を通じた求人では、虚偽の求人を出した企業に対する罰則はありません。
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