JASRACに「無罪」審決
2012/06/18 独禁法対応, 独占禁止法, エンターテイメント

事案の概要
14日、公正取引委員会は、JASRAC(日本音楽著作権協会)に対する排除措置命令(2009年2月)を取り消す審決(12日付)を出したと発表した。公取委の命令が審判で全て覆るのは1994年以来。
JASRACは、放送局などから、音楽著作権の使用料を、曲が利用された実数ではなく放送事業収入の何%といった形で包括的に算定する方法で徴収(包括徴収と呼ばれる)している。2009年2月、公取委は、包括徴収によると、放送局などが使用料の追加負担を避けるべくJASRACの同業他社の楽曲を利用しなくなり、その同業他社が著作権管理事業を営むことが困難になっていることが、私的独占(独禁法2条5項・3条)に該当するとして排除措置命令を出した。JASRACは排除措置命令を不服として審判請求をし、2009年7月から、審判(独禁法違反事件の裁判に該当する)が行われていたが、12日付で、証拠不十分で取り消す審決(独禁法違反事件の判決に該当する)が出された。
コメント
JASRACは、包括徴収に対する理解が得られなかったことで、結果的に「無罪」勝ち取ったものの、多大な労力を払った。JASRACは、このような事態を再び招かないように、理解されやすい徴収方法を検討するとしている。
具体的事案が、独禁法が捕捉する典型的な類型に当てはまることは少なく、違反するか否かは、今回の事件のように、公取委ですら判断を見誤ることがあるほどに難しい場合もある。事業者としては、事前に問題を回避する手段として、独禁法ひいては経済法一般に精通する者を内部に置くことが考えられる。
関連コンテンツ
新着情報
- 弁護士
- 松田 康隆弁護士
- ロジットパートナーズ法律会計事務所
- 〒141-0031
東京都品川区西五反田1-30-2ウィン五反田ビル2階

- ニュース
- 福岡県警が工藤会トップに賠償逃れと指摘、信託とは2025.6.18
- NEW
- 特定指定暴力団「工藤会」(北九州市)のトップが北九州市に所有する土地23筆の所有権を親族に移し...
- 弁護士
- 水守 真由弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号

- 解説動画
浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間

- まとめ
- 中国:AI生成画像の著作権侵害を認めた初の判決~その概要と文化庁「考え方」との比較~2024.4.3
- 「生成AIにより他人著作物の類似物が生成された場合に著作権侵害が認められるか」。この問題に関し...

- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード

- 解説動画
大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
- 終了
- 視聴時間1時間

- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード
- セミナー
森田 芳玄 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/東京弁護士会所属)
- 【オンライン】IPOを見据えた内部調査・第三者委員会活用のポイント
- 終了
- 2025/05/21
- 12:00~12:45