これも賭博?!社員の気軽な遊びにご用心
2015/11/11 コンプライアンス, 民法・商法, その他

概要
11月10日、巨人は野球賭博に関与したとして、福田選手、松本選手、笠原選手の三名を契約解除処分とした。球団内では、その他にも賭けトランプ、賭けマージャン等の賭博行為が常態化していたことがわかっている。野球賭博とは、一定期間(通常は一週間)の間に行われる野球の試合の勝敗についてお金を賭け、期間終了後に勝敗に基づいて清算するというものである。暴力団の重要な資金源となっており、全国で数十億円規模のお金が動いているとも言われている。日本で行われているサッカーのtotoは、形式上賭博に該当するが、特別法によって合法化され、日本スポーツ振興センターによって運営されている。野球賭博は誰の目にも違法であると判断できるが、社員同士で行う賭けトランプ等はなかなか賭博であると意識しづらい。社内コンプライアンスの観点からも注意が必要ではないだろうか。
賭博罪の要件
賭博罪(刑法185条)にいうところの、「賭博」に該当するための要件は次の2点である。
①偶然の勝敗
確実に予見できない事実に関して勝敗を決することで、財物等をやりとりをすることである。客観的に予見できる事実ではあっても、当事者において予見できていなければ該当することになる。例えば、天気や次に通る電車の種類といったものも当事者にわかっていなければ当たることになる。
②財物・財産上の利益
賭けの対象となるのは、金銭その他、一切の財産上の利益を含み、その価値の大小は問わない。ただしこれには例外があり「一時の娯楽に供する物」を賭けた時には賭博罪に該当しない(同但し書き)。即時娯楽のために消費するようなもの(大判昭和4年2月18日)であり、食べ物や飲み物、タバコといったものである。金銭であってもこれらの代金として支払われるのであれば賭博に当たらない。
まとめ
以上の要件から、社員同士でじゃんけんをして、負けた者が昼食をおごるとか、缶コーヒーをおごるといったものであれば、①の要件は満たすが、②の要件は例外に当たり満たさないことになる。いずれも賭けているものが即時娯楽のために消費するようなものだからである。しかしそれが100円とか500円といった金銭になった場合(上記例外の代金ではない場合)は、いかに小額であったとしてもこの例外には当たらないことになる(大判大正13年2月9日)。このように、賭博に当たるかは微妙な判断を要する場合がある。社員が昼休み等に気軽にこのような遊びをすることも少なくないであろうが、実は違法な賭博行為に該当してしまうということもありうるのである。どういった場合に賭博に当たるのかについて、社内でコンプライアンス指導を行うことが必要ではないだろうか。
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