男性の育児休業等促進 厚労省
2015/09/28   労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要

 厚生労働省は、育児のために一旦仕事を離れる育休制度の拡充のため、男性従業員の育児休業を奨励する企業への助成金を新設した。また、子育て世代の女性を念頭に、専門学校等にも託児付きの職業訓練を提供するように促す。
 男性従業員に特化した助成金による育休支援はこれが初めてとなる。これにより、ワーク・ライフ・バランスの促進や労働力の底上げを目指す。

男性の育児休業

 男性の育休取得率は、配偶者が出産した男性のうち2.3%と少ないのが現状である。
 今回の拡充では、過去3年間に男性の育休制度取得者がいない企業を対象とし、男性従業員が配偶者の出産から8週間以内に5日以上の育休を取得すれば、企業に助成金を出すという。1人目の育休取得には30万円、2~5人目には15万円を企業に支払う。6人目以降は助成しない。
 加えて、育休取得に伴う業務引継ぎマニュアルの作成等、育休を取りやすい体制・環境整備をした企業には、30万円の助成金を支払う。

子育て世代女性の再就職

 子育て世代の女性の再就職を円滑にするため、無料託児所付きの専門学校などを補助金で普及させ、子どもを預けながら職業訓練を受けられるようにする。世帯収入25万円以下などの条件に当てはまる求職中の女性が、ハローワークと相談し、ITや介護、事務、営業等、希望分野の講座を選ぶ。訓練期間は3~6カ月で、その間、毎月10万円程度の手当や交通費を支給する。

コメント

 今年6月に、1歳半以下の子どもがいる20歳以上の男性1030人を対象にインターネットで実施された、NPO法人ファザーリング・ジャパンの調査によれば、配偶者の出産後、育児や配偶者のサポートのために休みを取ったことのない男性は50.4%に上るという。有給休暇などを取った男性は45.6%であり、育児休業だけを取得した男性は4%であった。
 このような現状の背景には、そもそも育休を取得しづらい職場環境がある。女性従業員の場合でも、周囲の無理解・無協力、職場の業務過多、人員不足などからマタニティハラスメントに発展するケースは多い。加えて、男性従業員の場合は、「男性が育児に専念すること」自体について周囲の理解が得られないことが多い。
 先の調査では、育休を利用しやすい条件として、「上司が必ずいつ取得するか確認して、環境を整えてくれる」「人事部が確認してくれる」「配偶者の出産後8週間以内は昇進などにマイナスがない」が多く挙げられた。
 企業としては、このような従業員の意見を真摯に受け止め、職場の風土改革や体制整備に努める責任がある。

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