ANAストライキ問題にみる「モノ言う従業員」
2011/09/30 労務法務, 労働法全般, その他

内容
ANA(全日本空輸)は、29日、グループ会社のエアーニッポン、ANAウイングスの操縦士でつくる4つの労働組合からなる全日空グループ乗員組合(685人)が、組織再編に関する主張ないし労働条件の改善要求などに対する会社側の回答を不服として、10月1日の0時から24時までの終日ストライキ計画を会社側に通告したと発表した。
ストが実行されると、全日空グループの国内線980便のうち25.7%にあたる186便が欠航、66便が遅延となり、約1万8700人の乗客に影響が出るとされる。
雑感
ANAでは近年、子会社の労働組合によるこのようなストライキ、あるいはストライキ寸前の事態が相次いでいる。争点は多岐かつ複雑であり、このスペースで説明するのは困難だが、その背景には、国際的な航空業界の競争の激化と、それに対応するための相次ぐ組織再編がある。そのような状況は、航空業界に限らず昨今の経済界一般にみられるものであり、今後同様の動きが他の業界へと波及していく蓋然性が高いと思われる。
会社法は、専ら「社員」すなわち株主の利益を重視して作られている。「従業員」は登場しない。しかし、会社の経営の在り方により最も重大な影響を受けるのは、実は、余剰資金を運用する株主ではなく、そこで働くことにより生活の資を得ている従業員であるともいえる。それゆえ、「モノ言う従業員」の問題は、折から深刻化する正規雇用と非正規雇用との格差の問題も絡みあって、複雑で抜き差しならないものになっていくと思われる。会社は、これまでにも増して、労働組合との交渉等、労働問題へ真摯な取り組みを求められることになるであろう。
【関連リンク】
- ANAのプレスリリース
- 組合側によるこれまでの経緯説明(リンク切れ)
- 今回のスト通告に関する組合側の主張(リンク切れ)
関連コンテンツ
新着情報

- ニュース
- 裁判所が瓦製造メーカーに特別清算開始命令2025.10.7
- 島根県大田市の瓦製造会社「石央セラミックス」が先月12日、松江地裁から特別清算開始命令を受けて...

- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 終了
- 視聴時間53分

- 業務効率化
- 法務の業務効率化

- 解説動画
斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 終了
- 視聴時間1時間8分

- まとめ
- 改正障害者差別解消法が施行、事業者に合理的配慮の提供義務2024.4.3
- 障害者差別解消法が改正され、4月1日に施行されました。これにより、事業者による障害のある人への...
- 弁護士
- 平田 堅大弁護士
- 弁護士法人かなめ 福岡事務所
- 〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町10−5 博多麹屋番ビル 401号
- 弁護士
- 福丸 智温弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- セミナー
森田 芳玄 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/東京弁護士会所属)
- 【オンライン】IPOを見据えた内部調査・第三者委員会活用のポイント
- 終了
- 2025/05/21
- 12:00~12:45