JCAAが商事仲裁規則を改正
2014/03/11 法改正対応, 民法・商法, 法改正, その他

事案の概要
JCAA(日本商事仲裁協会)は、平成26年2月1日、企業間の取引の紛争解決の手続きである商事仲裁に関する商事仲裁規則を改正した。
同規則を改正することで、企業が商事仲裁の手続をより使いやすいものにし、利用を促す。
改正あるいは新たに規定されたものとしては、
1、電子メールによる通知の許容
2、通知の受領みなし(通知の受領拒否がされた場合発送の日から3日経過後に受領されたものとみなす)
3、相殺の抗弁の制限(仲裁申立ての通知を受領した日から4週間以内に限る)
4、仲裁判断は仲裁廷成立から6ヶ月以内に行う(努力義務)
5、当事者の懈怠に関する取扱いの規定の新設
6、緊急仲裁人による緊急保全措置命令の申立ての規定の新設
7、仲裁費用は、自己に不利益な仲裁判断をされた当事者が負担すること
8、仲裁手続費用には代理人報酬も含まれること
などがある。
同規則は、平成26年2月1日以後に手続が開始された仲裁事件に適用される。
コメント
企業間に紛争が生じた時に解決する手段の一つとして、商事仲裁の手続きがある。
この手続きは、一審限りの手続となっており裁判に比べ紛争が解決されるまでの時間はかからず、その分コストを抑えることができるというメリットがある。にもかかわらず、現状では利用数は少ない。
そこで、今回の規則改正により、利便性を向上させ利用を促すこととなった。
今回の改正により、手続きの迅速化や利便性の向上が図られたことは間違いないが、考えるべき点もある。
まず、仲裁費用は自己に不利益な仲裁判断をされた当事者が負担することとされている点について、勝敗にかかわらず生じてしまった紛争に決着をつけたいとの考えによる仲裁手続きの利用については消極的にならざるを得ないではないかと指摘されている。仲裁費用に代理人報酬も含まれるとされたことはこれをさらに助長するものといえる。
また、同規則48条が当事者の懈怠の規定を定めているが、この規定では不熱心な当事者について審理手続上不利な扱いをしていないので、審議促進につながらないとも指摘されている。
このような点が改善されれば同手続きの利用が促進され、企業にとっても有用なものになると考えられる。
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