ドローンを使うためには何が必要?規制と必要な手続きの概要

1.はじめに

近年、多くの企業でイベントや荷運び等多様な目的で使用され始めたドローン。
しかし利用の拡大とともに多くのトラブルが起こり、様々な規制が矢継ぎ早に打ち出されています。企業としても対応が迫られることになるでしょう。

そこで、本記事はドローンを使うことになった企業の法務担当者に向けて、その規制の概要と必要な手続きをまとめました。

2.規制対象

規制内容に入る前に、規制の対象となる基準について見ておきましょう。

ドローンを規制対象として、定義を定めているものとして「航空法」と「ドローン法」があります。

ドローン法は、正式名称を「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」と言います。
略称は「小型無人機等飛行禁止法」または「ドローン法」です。
ここでは最も短く分かりやすい「ドローン法」と表記します。

この2法はドローン規制法制の大きな2柱でもあります。しっかりと確認しておきましょう。

航空法

航空法において規制される「無人航空機」は「人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」(同法2条22号)と定義されています。
ここにドローンも含まれると解されます。他には、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等が該当します。(国土交通省HPより)
機体重量200 グラム(本体重量とバッテリーの合計)未満のものは、無人航空機ではなく模型航空機に分類されます。

したがって「ドローン」と名がついていても200グラム未満であれば航空法の規制は受けません。

ドローン法

「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他航空の用に供することができる機器で、構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作または自動操縦により飛行できるもの」(同法2条3項)が規制対象になります。

総重量200g未満で航空法の規制対象外であっても、ドローン法で規制されるという場合があります。見落としがないよう注意しましょう。
なおドローンとは異なりますが、ハングライダーや気球など、航空機以外の航空の用に供することができる機器も同法の規制対象となっています。

3.ドローン規制の概要

ドローン規制は、航空法による規制や小型無人機等飛行禁止法による規制など多岐に渡ります。
本記事では規制内容を「ドローンを飛ばす場所」と「飛ばす方法」に分類し、それぞれの規制の概要をまとめます。

(1)飛ばす場所の規制

航空法

航空法による飛行禁止区域は3つあります。

①航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域(法132条1号)

空港事務所長宛に「許可申請」が必要になります。
空港に近接する地点と離れた地点とでは、規制される高さが異なる点も注意が必要です。
空港を中心としたすり鉢状の規制空域があるイメージです。

具体的な空域の判断としては国土交通省HPの記載が参考になります。
空港等の管轄機関への連絡先についても、同ページに記載があります。

②地表または水面から150m以上の高さの空域(同号)

この場合も、空港事務所長宛に「許可申請」が必要になります。
また②の場合、その空域が「民間試験訓練空域(訓練空域)」に該当するかどうかを事前に調べておく必要があります。
該当する場合は、許可申請する前に、その空域を管轄する管制機関との調整を行わなければなりません。

③人又は家屋の密集している地域の上空(同条2号)

「人口集中地区の上空」を飛行させる場合、事前に地方航空局長の許可が必要です。

人口集中地区か否かを調べるには国土地理院HPの「地理院地図」がオススメです。
地図上で「情報」→「他の機関の情報」から人口集中地区を確認する機能があります。

地図上で赤く塗られている地域が該当します。更新されるため、必ず最新の情報を取得しましょう。

小型無人機等飛行禁止法

国会議事堂や主たる官公庁、原子力発電所など国の重要な施設等の敷地及びその周囲おおむね300m以内の地域の上空でドローンを飛行させることは原則として禁止です。(同法8条1項)

他にもサミットやオリンピック等が開催されるときにはその周辺が飛行禁止エリアとして指定されることがあります。
新しい指定については、国土交通省HPで告知されるため、確認しましょう。

なお、同法8条2項の規定により、次の場合は本法の適用除外となリます。
①対象施設の管理者やその同意を得た者による飛行
②土地の所有者やその同意を得た者による飛行
③国又は地方公共団体の業務として行う飛行

つまり①②により、同意があれば飛行することができるとも言えます。
ただしその場合であっても、あらかじめ管轄の都道府県公安委員会等に通報しなければなりません。(同法8条3項)また飛行の48時間前までに管轄の警察署等を経由して管轄の都道府県公安委員会等に届出なければなりません。

(2)飛行の方法

航空法

飛行方法が指定(同法132条の2)されており、それ以外の方法による場合は事前に地方航空局長の承認が必要です。

上記規定により承認が必要になるのは以下の場合です。

①日中以外(日没から日の出まで)に飛行させる場合

②肉眼による目視でドローンまたは周辺環境を監視できない状況で飛行させる場合

③ 第三者、建物、自動車等との間に30m以内の距離を通って飛行させる場合

④祭礼、縁日など多数の人が集まる場所の上空で飛行させる場合

⑤ 爆発物など危険物を輸送する場合

⑥ ドローンから物を投下する場合

道路交通法

道路交通法にもドローンに関する規制があります。
一般交通に著しい影響を及ぼすようなドローンの飛行が規制されます。(同法77条)
該当する場合、その道路を管轄する所轄警察署長に申請して「道路使用許可」を受ける必要があります。

道路上を通過するだけでも、低空飛行によって交通に影響を与える場合なども該当する恐れがあります。十分に注意し、不安があれば申請を検討しましょう。

港則法・海上交通安全法

海上でドローンを飛ばす場合には港則法と海上交通安全方に注意が必要です。
ドローン使用が「船舶交通の安全に支障を及ぼす作業」にあたると考えられる場合、許可または届出が必要になります。

電波法

ドローンの操縦は電波を飛ばして行いますから、電波法の規制もかかります。
電波を発する無線機器は、原則として総務大臣の免許を受けて使用します。
ただし全てのドローン操縦が該当するわけではなく、免許が必要でない周波数の場合もあります。
具体的には、「2.4Ghz帯」であれば微弱な電波として必要ないものが多いと考えられますが、それ以外の「5Ghz帯」の周波数については原則免許が必要とされます。

また「技適マーク」も重要です。
技適マークは、電波法令で定めている技術基準に適合している無線機であることを証明するマークです。
参照:総務省HP
この技適マークが付いていないドローンは基本的に電波法違反になります。

「2.4Ghz帯」の周波数帯のものであっても「技適マーク」が必要です。

普通のドローンでは使用しない微弱な電波を用いている場合などは規制外となる場合もありますが、規制があるものと考えて行動する方がいいでしょう。
特に輸入品の場合は注意しましょう。

その他管理行為等

上記規制に該当しない場合でも、公の施設(公園など)の管理行為、あるいは私的な所有権によって利用が制限されることも当然あります。
当該土地等の管理者・権利者への確認は怠らないようにしましょう。

3.コメント

様々な場面で活躍しつつあるドローンですが、近年の普及に伴って、それに対する規制も整いつつあります。

この記事では2019年6月現在の規制と手続きの概要を網羅的に紹介しました。

航空法とドローン法を柱としたドローン規制は今後も続くと思われますが、それに加えて新しい規制が加わったり、規制空域の指定が拡大することがあるでしょう。

しっかりと最新の規制・手続を確認して、安全かつ適法なドローン運用を心がけましょう。

参考サイト:
申請・手続については国土交通省のHPに情報
規制の概要について、国土交通省によるガイドライン

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[著者情報] kogure

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東京大学法学部卒
労働法/景品表示法を中心とした企業法務を広く取り扱う他、人事労務担当者との勉強会を8年以上主宰。
著書に「景品表示法の理論と実務」(中央経済社)、執筆記事に「基本用語と講習例でわかる!LGBT基礎知識」(月刊ビジネス法務・2017年3月号)等がある。
気さくな人柄とわかりやすさで社内講習/セミナー講師としても好評を博する。

■登島 和弘
サイネオス・ヘルス合同会社
アジア太平洋地域法務責任者

中央大学法学部法律学科卒
立命館大学法務研究科修了
スタンレー電気㈱総務部庶務課法務担当を皮切りに、日本AT&T㈱(米系)契約課長、松下冷機株式会社法務室主事、
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2016年Max Planck Institute for Innovation and Competitionにある
ミュンヘン知的財産法センター修了(LL.M.)、同年Noerr法律事務所ミュンヘンオフィス勤務
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吉川 達夫
ニューヨーク州弁護士/外資系企業 VP, General Counsel

外資系法務本部長、駒澤大学法科大学院、国士舘大学21世紀アジア学部非常勤講師
元Apple Japan法務本部長、元伊藤忠商事法務部、元Temple Law School日本校客員教授。上智大学法学部、Georgetown Univ. Law Center卒

編著:『ライセンス契約のすべて 実務応用編』(編著、第一法規、2018年)、『ライセンス契約のすべて 基礎編』(編著、第一法規、2018年)、『ダウンロードできる 英文契約書の作成実務』(編著、中央経済社、2018年)など、著作・論文多数

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