株式持合いまとめ

1、はじめに

 上場企業同士の株式持合い比率が平成29年度に初めて10%を割り込みました。今回は株式持合いについて、メリット・デメリット・解消方法についてまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。

2、株式の持合いとは

 株式の持ち合いとは、複数の会社が互いの株式を取得している状態のことをいいます。株式の持ち合いによって取得した株式を相互保有株式といいます。相互保有株式の取得にあたり特別な契約は必要ありません。そのため、一方の会社は自由に相互保有株式を譲渡・売買することができます。
 なお、相手会社(A社)が自社(B社)の株式を25%以上有している場合、自社(B社)は相手会社(A社)の株主総会で議決権を行使することができません(会社法308条1項参照)。これは、B社がA社の意向通りに議決権を行使することを防ぎ、株主間の公平を維持するためのルールです。

株式の持ち合いとは?メリット・デメリット、事例を解説(M&A総合研究所ポータル)

やさしい会社法(議決権行使の制限)

3、株式持合いの目的

 株式を相互保有している会社は、会社間の信頼関係を崩さないために事実上相互保有株式を譲渡しにくくなります。そうすると、その株式は第三者に流出する危険性が低いので、安定した株主の確保につながります。
 安定した株主を確保することにより、特定の企業から株式を買い占められるのを防げるので、敵対的買収の防止にも役立つでしょう。

「株式持ち合い」の解消が進む理由とは? そもそも、目的やデメリットとは?(パイルズガレージ)

4、株式持合いのメリット・デメリット

【メリットについて】
(1)取引関係をもっている会社同士が株式の持合いをすることによって、互いの株価を低下させないために取引関係を継続しようとします。そのため、長期的な取引関係の継続に資するといえるでしょう。
(2)先にも述べたように、株式の持合により安定した株主の確保ができるので、敵対的買収を仕掛けられるような事態になったとしても、経営権を支配されるほどの膨大な株式買収を防ぐことが可能です。
【デメリットについて】
(1)いわゆる「もの言わぬ株主」が多くなることで一般株主の経営陣に対するチェック機能がはたらかなくなり、非効率的な経営を招くおそれがあります。
(2)会社財産の成長に向けて資金を投入しにくい状態をつくり、資本効率の低下が生じるおそれがあります。
(3)一方の経営悪化や経営破綻に基づく株価下落や株式価値の喪失が、もう一方の財務内容を悪化させるという負の連鎖が生じるおそれがあります。

解消進行中!? 株式持ち合いのメリット・デメリットをおさらいしよう(財テクLIFE.com)

5、株式持合いの解消

 株式の持合いを解消するためには両社の合意が必要であり、かつ、それで足ります。
 ただし、株式の持合いを解消するということは自社の株式を回収するということであり(「自己株式の取得」といいます)、そのためには株主総会での合意が必要です。事前に株主総会を招集して合意(総議決権の3分の2以上)を得られれば自己株式を取得できますが、当然否決されるケースもあるでしょう。

いわゆる株式の持ち合い解消方法について(弁護士法人栄光 栄光綜合法律事務所)

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[著者情報] oisi

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