旧リーガロイヤル広島などが特別清算、会社法の精算手続きについて

はじめに

RRHH(旧リーガロイヤルホテル広島)とRRHK(旧リーガロイヤルホテル小倉)が12日までに、それぞれ広島地裁と福岡地裁小倉支部から会社法の特別清算開始決定を受けていたことがわかりました。負債総額はそれぞれ約89億円と約68億円とのことです。今回は会社法の精算手続きについて見ていきます。

事案の概要

報道などによりますと、RRHHは1991年に広島市の中心部に設立され99年には約113億円の売上を計上していたとされます。しかしその後多額の投資により2014年には約91億円の債務超過に陥り、2017年に新設分割した会社に事業を譲渡して同年9月30をもって解散したとのことです。一方RRHKは1992年に北九州市に設立され、こちらも97年には約58億円の売上を計上したものの、RRHHと同様に投資による債務超過から98年時点で約77億円の累積赤字を計上しRRHHと同じく2017年9月に新設分割と事業譲渡を経て解散となりました。

会社の解散と精算

会社が解散すると精算手続きに入ります。解散の原因は様々ですが会社法では存続期間の満了、定款で定めた解散事由の発生、株主総会による決議、合併、破産などが定めれらております(471条)。会社は解散しても直ちに法人格は消滅せず、精算手続きの結了をもって消滅します(476条)。精算手続きとは会社の業務を完了し残余財産があれば株主に分配し、会社の権利義務関係を終結的に処理する手続きです。会社が解散した場合だけでなく設立無効判決が出た場合や株式移転無効判決が出て確定した場合にも精算手続きが必要となります(475条2号、3号)。

精算手続きの概要

(1)精算中の機関
精算中の会社は必ず清算人を置かなければなりません(477条)。取締役や代表取締役、執行役などの会社の業務執行機関は解散によって権限を喪失し、かわりに清算人が精算会社の業務の執行を行うことになります。解散時に公開会社か大会社であった場合は監査役も必須となり(477条4項)、監査役会を置いている場合は清算人会を置くことになります(同3項)。これは解散前の会社の機関設計と対応しております。それ以外の会計参与や会計監査人も解散時に地位を失い、また指名委員会なども設置不可となります(同4項、5項)。清算人は定款で定めるか株主総会で選任しますが、それらによって定められなかった場合は取締役がそのまま清算人となり、それもいない場合は裁判所が選定します(478条1項、2項)。

(2)財産目録等の作成
清算人は就任後遅滞なく、会社の財産状況を調査して財産目録と貸借対照表を作成し、株主総会の承認を得て、清算結了まで保存することになります(492条2号)。そして精算年度ごとに貸借対照表、事務報告、附属明細書を作成し、監査役が設置されている場合には監査を受ける必要があります(494条1項、施行規則146条)。

(3)債務の弁済
精算会社は解散後遅滞なく、2ヶ月以上の一定期間内に債権を申し出るべき旨とその期間内に申出が無い場合は精算から除斥される旨を官報で公告しなければなりません(499条)。旧商法ではこの公告は3回以上行うことを義務付けられていましたが、現行法では1回でいいこととなっております。そして知れている債権者には個別に催告を要し、また精算から除斥することはできません(499条1項、503条1項)。精算会社は催告期間内は弁済することはできませんが、催告期間が過ぎれば弁済期前でも弁済することができます(500条1項)。

(4)残余財産の分配
上記の弁済を終え、残余財産が有れば株主に、その持ち株数に応じて分配されます(502条、504条3項)。具体的な分配額は清算人または清算人会で决定し、金銭でなく現物分配も可能ですが、その場合株主は金銭での分配請求ができます(505条)。また催告期間内に申出を行わずに除斥された債権者も、分配がなされていない残余財産に対してのみ弁済請求を行うことができます(503条2項)

(5)精算の結了
これらの事務が終了したら、清算人は遅滞なく決算報告を作成し、株主総会で承認を受けることになります(507条)。そして本店所在地で清算結了の登記を行ない精算手続きが終了することになり、会社の法人格が消滅します(929条1項)。

特別清算

精算の遂行に著しい支障を来すべき事情がある場合、または債務超過の疑いがある場合には債権者、株主、清算人などの申立により裁判所の命令で特別清算手続に入ることが有ります(510条)。この場合は上記の精算手続きを裁判所の監督のもとに厳格に行うことになります。著しい支障を来す場合とは債権者が多数で利害関係が錯綜している場合や、清算人が不誠実な場合などが挙げられます。特別清算になった場合は清算人は特別清算人となり、財産の処分や借財、訴訟、和解など一定の行為に裁判所の許可が必要となります(535条、527条)。また債権者による強制執行や仮差押、仮処分、破産申立等ができなくなりますが、一定の場合には裁判所が職権で破産手続開始決定を行ないまっす(574条)。

コメント

本件でRRHH、RRHKともに親会社であるロイヤルホテルから債権放棄を受け、財務体質の強化を図っておりましたが、改善の兆しが見えず、解散にいたったとのことです。負債額はRRHHが約90億円、RRHKが約68億円となっておりますが、債権者は親会社のロイヤルホテルのみであることから破産手続きではなく特別清算手続きを利用したものと考えられます。破産の場合は、破産手続開始決定の要件が「支払不能」か「債務超過」の場合ですが、会社法の特別清算は上記のように「債務超過の疑い」か「著しい支障を来すべき事情」がある場合と、破産に比べて要件が緩やかとなっております。また破産の場合は破産管財人が選任されますが、特別精算の場合は清算人がそのまま特別清算人となるだけです。しかし逆に特別清算は債権者の同意を要する手続きが多いと言えます。会社は解散してもその後の精算事務が重要で、場合によっては数年かかることもあります。手続きの流れを把握し、負債の額や利害関係人の数なども考慮して手続きを選択することが重要と言えるでしょう。

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[著者情報] mhayashi

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