裁判員制度の司法における影響
2012/05/15 訴訟対応, 刑事法, その他

事案の概要
裁判員制度が始まって今月21日で3年になり、これまで3600人を超える被告に判決が言い渡された。最高裁は14日、制度開始の前と後の刑の重さ(量刑)を比べたデータを公表した。その結果性犯罪の刑が重くなり、社会の中で立ち直りの機会を与える判決が増えるなど、市民が参加したことで判決の傾向に変化が現れていることが判明した。
最高裁判所が判決の変化について調べたところ、覚醒剤の密輸事件の裁判員裁判では2.1%に当たる7人に無罪が言い渡され、それ以前の裁判官だけの裁判の0.6%に比べ割合が大幅に増加していることがわかった。一方、婦女暴行事件は刑の重さを2年単位で分けて判決の分布を調べたところ、それまでの裁判官だけの裁判では懲役3年から懲役5年の間が最も多くなったが、裁判員裁判では懲役5年から懲役7年の間が最も多くなり、刑が重くなる傾向が顕著に現れている。
こうした変化について、裁判員制度の政府の検討会のメンバーだった國學院大學法科大学院の四宮教授は「どの変化も市民の感覚が反映されたものとしてプラスに評価するべきで、制度の導入で期待されたことが現れているのだろう」と話している。裁判員裁判の量刑について、制度導入前は「市民は被害者の感情を重くみる」として厳罰化が進むという予想もあった。だが執行猶予が活用されることで、量刑の幅は広がった形となった。
コメント
裁判員制度は専門的見地に偏った判決を是正するために導入された。今回明らかになった
傾向の変化は「執行猶予」が付く割合も増えるなど、一般人の考えが反映されており、導入の目的は達成されつつあると言えるだろう。
だがあまり反映させ過ぎると、今度は専門家としての見地が判決に活きなくなる可能性がある。法律は現実の問題を解決するためのものであり、社会の一般的な考えを反映させる必要はある。しかし規範や専門性という側面もあるので、一般的見解に振り回されすぎるのは本末転倒だろう。
一般的な見解を判決にどれ程反映させるかについては、今後議論をするべきだろう。
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