団体交渉は誠実に!!
2011/11/15 労務法務, 労働法全般, その他

東京都の労働委員会(都労委)は、今月14日、団体交渉に応じなかった企業に対し、救済命令を下した。
【関連リンク】
アニマルケア事件(リンク切れ)
アニマルケア事件では、労働組合(X組合)が会社(Y社)に対して団体交渉の申入れを行ったところ、X組合の組合員にY社の総務部部長(A)がおり、Aは従業員の採用において、自ら単独で面接を行っていたから、Aは使用者の利益代表者(労働組合法2条1号)に当たり、団体交渉に応じる義務はないと述べた(他の論点は省略する)。
しかし、同号の趣旨は、労働組合に使用者の利益代表者が加入する場合、この労働組合を団体交渉の当事者から排除することにより、労働者の救済を確実にすることにあるのだろう。すると、肩書きが管理部門のトップであるという事実だけで、利益代表者と判断すべきではない。Aが本当に使用者の利益を代表しているかについて、実態に即して検討していく必要がある。
都労委は、利益代表性を否定する事実として、Aは契約社員であり、期間は1年弱であったことを挙げる。ただ、1年弱でも重要なポストを任されることはありうるので、この事実だけをもって、Aの利益代表者性を否定することはできないだろう。また、都労委は、Aは単独で面接を行っていたものの、最終的に採否を決定するには、取締役による決裁手続が必要であったという。しかし、仮にこの決済手続が形骸化しており、事実上はAが最終的な採否決定を行っていたとすれば、Aは利益代表者になりうる。したがって、決済手続が必要だからといって、直ちに利益代表者性は否定できないであろう。
だが、都労委によると、Aは、部下の総務部員の異動、昇進及び勤務評価に関して、最終的な決定権限を有しておらず、機密事項に接したこともないという。ここまで読むと、Aは実権を握っておらず、利益代表者には当たらないと言って良さそうである。また、AはY社の担当者として組合との交渉を任されたこともないという。すると、Aが加入していても、X組合を排除する必要はない。他の論点は割愛したが、結局、Y社は都労委から団体交渉応諾命令を受けた。
このように、利益代表者性の判断は実質的に行われる。肩書きという形式的な理由で争うことは、時間と費用の無駄ではないか。
関連コンテンツ
新着情報

- 業務効率化
- Hubble公式資料ダウンロード

- セミナー
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【オンライン】新サービス「MNTSQ AI契約アシスタント」紹介セミナー
- 終了
- 2025/04/22
- 14:00~14:30

- ニュース
- 東京地裁がツイート画像を著作物と認定、著作権法の著作物について2025.10.14
- NEW
- ツイッター(現X)の投稿をスクリーンショットした画像を無断転載されたとして、転載したアカウント...

- 解説動画
斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 終了
- 視聴時間1時間8分

- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード
- 弁護士
- 境 孝也弁護士
- さかい総合法律事務所
- 〒105-0004
東京都港区新橋3-9-10 天翔新橋ビル6階

- まとめ
- 株主総会の手続き まとめ2024.4.18
- どの企業でも毎年事業年度終了後の一定期間内に定時株主総会を招集することが求められております。...

- 解説動画
岡 伸夫弁護士
- 【無料】監査等委員会設置会社への移行手続きの検討 (最近の法令・他社動向等を踏まえて)
- 終了
- 視聴時間57分
- 弁護士
- 松田 康隆弁護士
- ロジットパートナーズ法律会計事務所
- 〒141-0031
東京都品川区西五反田1-30-2ウィン五反田ビル2階