横浜ベイスターズ売却問題から見るプロ野球のあり方
2011/10/21   事業承継, 民法・商法, その他

1. 概要

 プロ野球・横浜ベイスターズを保有するTBSホールディングス(HD)が球団売却を検討している問題で、TBSHD幹部が携帯電話向けソーシャルゲームサイト「Mobage(モバゲー)」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)への売却について、「強く反対しているところ(球団)が一つある」と明かした。具体的な球団名は明らかではないが、過去にTBS(当時)と経営統合をめぐって争った楽天が反対しているとみられる。

 球団譲渡にはオーナー会議で4分の3以上の承認を得ることが必要であり、他球団のオーナーの賛同が合意の条件とされている。TBSHDは今月中の売却合意を目指しているが、ある幹部は「一つ(の球団)でも反対されれば遺恨を残しかねない」と話しており、全会一致のオーナー会議の承認を求める慎重論もある。

 DeNAとの交渉は大筋でまとまっているように思えた。しかし、ここにきて新たに京浜急行電鉄(本社=東京・港区)、相鉄ホールディングス(本社=横浜市西区)、ミツウロコ(本社=東京・千代田区)など横浜市に縁がある複数の企業が買収に名乗りをあげており、事態は混迷を極めている。

2. 横浜ベイスターズについて

 日本のプロ野球はセントラル・リーグとパシフィック・リーグの2リーグで構成される。各リーグはそれぞれ6チームから成り、横浜ベイスターズはセントラル・リーグに属している。2011年度の成績は10月20日時点で47勝84敗11引き分け、勝率.359。球団売却は、近年のチームの成績不振が大きな要因である。

横浜ベイスターズ球団公式サイト

3. コメント

 プロ野球のシーズン閉幕が近付いたこともあり、昨年に続き、再度横浜ベイスターズの売却問題が浮上した。今年は東日本大震災の影響によるシーズン開幕時期をめぐる交渉から始まり、シーズン途中での監督解任発表など、日本のプロ野球のあり方について考えさせられる出来事が相次いだ。

 企業がプロ野球の球団を保有するメリットは何だろうか。昨年はLIXILブランドを展開する住生活グループが売却先として有力視されたが、交渉成立には至らなかった。ただ、同社が買収に意欲を示したのは自社ブランドの知名度の向上が主な目的であり、プロ野球自体への興味からではないと考える。今回の騒動でDeNA側は球団を長期的に保有する意向を示しているが、単に「Mobage」の認知度の向上を意図しているとすれば、オーナー会議では同社の経営の安定性とともに慎重に検討されなければならないであろう。

 一プロ野球ファンとしては、シーズン途中であるにもかかわらず今回のような身売り問題が大々的に報じられてしまうことは遺憾である。なぜならば、選手は不安を感じることで試合や練習に集中できなくなってしまうからである。さらに、横浜ベイスターズの場合は本拠地の移転も検討されており、これらの動向は日本のプロ野球放れにも拍車をかけていると感じる。

 横浜ベイスターズの売却は今年中に決着がつくのか、どのような判断が下されるのかが注目される。それとともに、今後企業は上層部のみでの一方的な判断を避け、選手やファンを念頭に置いた経営を心がけて欲しいと思う。

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