古河電工、価格カルテル関与で罰金2億ドル
2011/09/30 独禁法対応, 独占禁止法, メーカー

1 概要
古河電気工業(東京)は29日、自動車内に配線するワイヤハーネスと呼ばれる電線の販売をめぐる価格カルテルに関与したことを認め、、米司法省との間で罰金2億ドル(約150億円)を支払う司法取引に合意した。
また、不正に関与した日本人幹部3人は米国で最長1年6月の禁固刑に合意したという。
2 内容
アメリカ司法省の発表内容によれば、古河電気工業は、10年にわたって他社と価格カルテルを結び、自動車部品の価格を不正に操作していたという。古河電工はこの不正を認めており、罰金2億ドルのほか、不正に関わった3人の日本人幹部にも1年から1年6ヶ月の禁固刑が科される見通しで、近く、デトロイトの裁判所から正式に言い渡される予定。
アメリカ連邦捜査局(FBI)の特別捜査官は「米経済の土台をむしばむ行為だ。加担した企業すべての罪を追及していく」とコメントしたという。
ワイヤハーネスの価格カルテルをめぐっては、日米欧などで同時に捜査が進んでいる。米司法省によると罰金は今回が初めてだが、英国では、日経メーカーの社員が逮捕されたと報じられている。
今回の摘発を受け、古河電気工業は、役員報酬を3カ月間半額返上することなどを決めるとともに、「今後も信頼回復に向け、コンプライアンスの徹底を図ってまいります」とのコメントを発表した。
3 価格カルテル
カルテル(独:Kartell)とは、事業者が他の競争事業者と共同して価格を制限するなど、互いに事業活動の自由を拘束することにより、公共の利益に反して、市場における競争を実質的に制限することをいう。価格カルテルは、参加企業間で価格を決定し、不当に利益を上げる形態のことである。
カルテルは、最も有効的な競争制限手段と言われ、違法性も高い。
我が国においては私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)により禁止されている(独禁3条後段)。米国や欧州等においてもカルテルは各国の競争法により禁止されている。
4 雑感「カルテル規制に対する法務部門の役割」
カルテル問題に関する情報が法務部門に届くことは稀という。なぜなら、カルテルについての合意書や契約書が作成されることがないからだ。
とすれば、カルテル規制に対する法務部門の役割としては、違法なカルテルを行なった場合に、企業に及ぼす影響が重大かつ深刻なものであるということを、常日頃から周知・徹底させることが第一である。
また、企業の行為の影響は他国にも及ぶ可能性があるため、日本のカルテル規制のみならず、他国の規制内容等も把握し、社員への情報提供・注意喚起が必要であろう。
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