高額賠償も!著作権侵害のリスク
2011/09/14 知財・ライセンス, 著作権法, その他

問題の所在
先日,インターネットのオークションで海賊版DVDを販売した人や店に対して,コンテンツ制作会社が高額の損害賠償訴訟を提起する動きがあることが報じられた(9月13日付朝日新聞夕刊)。企業活動を行うに際して,著作物は頻繁に利用されているが,権利を侵害するとこのような高額賠償のリスクを負う。
それでは,権利を侵害しがちな場合や対応策にはどのようなものがあるであろうか。
ついつい起こしがちな権利侵害
例えば,ある会社の製品が雑誌や書籍の一部で取り上げられたとする。これを見た営業マンは,記事をコピーし,製品のプレゼン資料として利用する。製品のプレゼン資料の充実を図るという点では,このような行為は評価を受けるものかもしれない。しかし,これは著作者に無断で行えばれっきとした著作権侵害行為である。また,ホームページ担当者が企業や製品イメージの向上を図るために,他のサイトに載っていた写真を自己のサイトに載せたとする。これも,無断で行えば著作権侵害行為である。さらに,1台のコンピューターにのみライセンスされているソフトウェアを他のコンピュータに無断でインストールしたとする。これも権利侵害である。これについては,ライセンス数の限定を知りながら,どうせバレないだろうと考え,多数のコンピューターにソフトウェアをインストールする者もいる。こうなると,「ついつい権利侵害をした」というのでは済まされない。
対応策
企業の法務部門の人間にとっては,上記のような行為が権利侵害にあたることは,明白であろう。しかしながら,他の部門でこのような認識が共有されているとは限らない。上記の営業マンやホームページ担当の行為は,著作権侵害という点を除けば,評価を受け得る行為である。そのため,これらの者は,むしろ会社に貢献する行為をしているのだと考えているかもしれない。
このような認識をただすためには,新入社員への新人研修の段階から,著作権教育を行っていくことが大事である。また,社内で定期的にセミナーを開くなどして,意識を高めることも重要である。さらに,最近では,知的財産関係の資格として,知的財産管理技能士,ビジネス著作権検定などがある。これらの取得を推奨することも著作権に対する社員の理解を深めることに役立つ。また,社内で著作権に関する行動ルールを定めたり,他の部門の者が法務部員に相談しやすい体勢を築くことも重要である。
所感
現在,著作物は頻繁に利用されているにもかかわらず,権利侵害についての認識がなかったり,また,どうせバレないだろうと考えて権利を侵害している場合がある。しかし,9月13日付朝日新聞夕刊が報じたように,権利侵害者に対して,権利者側が高額の賠償を請求する動きが出てきている。これは海賊版DVDを作成・販売して者に対しての動きではあるが,企業も著作権の侵害の態様によっては,高額の賠償を請求される可能性は十分ある。
著作権の知識の欠如,どうせバレないだろうという考えからの行動により,高額の賠償を請求されては,割に合わない。今一度,著作権及び侵害時のリスクについて理解を深めることが大事ではないだろうか。
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