「武道」であって「柔道」ではない
2011/07/25 訴訟対応, 民事訴訟法, その他
原告の請求、認容される
柔道の授業中に、同級生から背負投げをされ怪我をし、後遺症が生じたとして元生徒の男性(21)が、学校側に損害賠償請求をしていた訴訟で、7月22日、東京地裁は原告の約1964万円の請求に対し、約1640万円の支払いを認める一部認容判決を下した。
同裁判を担当した畠山稔裁判長は、元生徒の男性が、柔道の授業で怪我を負い、リハビリ中で受身の練習量が不足していたと認定した。このような元生徒の状態にもかかわらず、指導教諭が元生徒の習熟度や健康状態の聞き取り等をすることなく漫然と元生徒を練習に参加させたことが、監督義務違反に当たる、と判断し、指導教諭の過失を認めた。
安全な競技の指導ができる者が必要
前述の裁判では、指導教諭に過失が存在したために元生徒が怪我を負ったといえる。競技の上達のためには、優れた指導者が必要なのは言うまでもない。だが、柔道に関しては、競技の性質上他の競技よりも危険が伴う。そして、その危険発生のリスクを減少させることが出来るのは、指導者の腕次第であろう。そうであれば、競技者や生徒に危険が及ばないような指導ができることが、柔道の指導者としての必須の条件となると思う。
柔道以外の選択肢に注目を
平成24年度より、中学校の授業で武道が必修化される。この「武道」には剣道・柔道・相撲の3つがあり、この内1つを選択するのである。そうであれば、柔道を選択しなければならないわけではない。また、剣道・相撲も、柔道同様相手への敬意を重視しているし、技の掛け合いの面白さは引けを取らないと思われる。つまり、武道を学ぶ意義は、剣道・相撲でも達成される。
実力十分の指導者や、武道場の確保といった環境整備が整っていない学校では、柔道を選択しないという判断が望まれる。武道を通して喜びを感じ、礼節を身につけることは重要であるが、それらを追求したばかりに生徒の命が失われたり、重大な怪我が生じてしまっては、教育として本末転倒であろう。
関連リンク
- 柔道授業で後遺症、高校側に1640万円賠償命令 - asahi.com(リンク切れ)→アーカイブ
- 柔道授業でけが、学園側賠償命令 東京地裁判決 - 日本経済新聞
- 武道・ダンス必修化:文部科学省
関連コンテンツ
新着情報
- 解説動画
- 斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
- 斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 視聴時間1時間8分
- まとめ
- 経済安全保障法務:中国の改正国家秘密保護法の概要2024.3.15
- 2024年2月27日, 中国では国家秘密保護法(原文:中华人民共和国保守国家秘密法)の改正が成...
- 業務効率化
- Hubble公式資料ダウンロード
- ニュース
- WeWork Japanの再生手続きが廃止、民事再生の手続きについて2024.4.8
- 2月1日に東京地裁に民事再生法適用の申請をしていた「WoWork Japan合同会社」(...
- 弁護士
- 大口 裕司弁護士
- 三村小松法律事務所
- 〒100-0005
東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館 6階
- セミナー
- 登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
- 登島さんとぶっちゃけトーク!法務懇談会 ~第9回~
- 2024/04/19
- 19:00~21:00
- 業務効率化
- LegalForce公式資料ダウンロード
- 弁護士
- 淺田 祐実弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 解説動画
- 江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 視聴時間53分