RIZAPの「未払いなら退会不可」規約が改定/消費者契約法上の問題点は
2026/03/18 コンプライアンス, 消費者取引関連法務, 消費者契約法, サービス

はじめに
RIZAPが未払い利用料がある場合は退会できない旨の利用規約の規定を改定していたことがわかりました。適格消費者団体から差止請求がなされていたとのことです。今回は消費者契約法の規制について見直していきます。
事案の概要
報道などによりますと、フィットネスクラブ「chocoZAP」を運営するRIZAPは、利用規約の退会に関する条項で、退会できない場合として「利用料の引き落としエラー等の未払いがある場合(未払いが解消されるまで退会不可)」と定められていたとされます。
これに対し適格消費者団体であるNPO法人 消費者被害防止ネットワーク東海は、「本条項は民法651条1項の定める解約の要件を加重するものであり、未払い料金の支払が完了しない限り解約できず、その間も月額会費が発生し続けるというもので消費者の利益を一方的に害し消費者契約法に反する」として差止を求めていたとのことです。
また、解約できない間に自動的に発生する会費についても、「実質的に損害賠償の予定ないし違約金に該当する」と主張しています。
消費者契約法の規制
消費者契約法10条によりますと、消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申し込みまたはその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限しまたは消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって民法1条2項の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効とされています。
消費者と事業者との間にある情報・交渉力の格差を背景として消費者が本来有しているはずの利益を一方的に侵害する条項を無効とし、消費者の利益を保護することが趣旨となっています。
具体的な無効要件は、
(1)任意規定と比較して消費者の権利を制限しまたは義務を加重する条項であること
(2)信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであること
となっています。任意規定とは特約がなければ適用される法律の規定を意味します。信義則に反するかについては当該条項の性質、契約に至った経緯、消費者と事業者間の情報や交渉力の格差、その他諸般の事情を総合的に考慮されます。
消費者契約法9条
消費者契約法9条では消費者契約の解除等に伴う消費者の負担する損害賠償額の予定や違約金などについて行っていの規制を置いています。
まず、解除に伴う損害賠償額の予定または違約金を定める条項では、これらを合算した額が解除の事由、時期等の区分に応じて同種の消費者契約の解除で事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分が無効となります(同1項1号)。
次に、消費者が支払期日までに支払わない場合の損害賠償額の予定または違約金を定める条項では、これらを合算した額が支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、日数に応じて年14.6%の割合を乗じて計算した額を超える部分が無効とされています(同2号)。
さらに、事業者は損害賠償額の予定や違約金を定める条項に基づき消費者に支払を請求する場合に、当該消費者から求められたときはその算定の根拠の概要を説明する努力義務を負っています。
契約条項が無効となるケース
消費者契約法9条や10条に違反する具体的なケースとして、事業者がいつでも一方的に契約内容を変更できる旨の条項や、消費者の債務不履行がある場合に正当な理由なく無催告解除ができる旨の条項、契約不適合責任の権利行使期間を正当な理由なく不当に短く設定する条項、契約解除の手続きを極端に複雑にし事実上解除ができなくするような条項などが消費者の正当な権利を不当に制限する条項として無効となる可能性が高いと言えます。
また、逆に事業者の責任を不当に免除や軽減する条項として、事業者の施設内での盗難や事故について事業者が一切責任を負わない旨の条項や事業者に過失がある場合でも不当に低廉な賠償額の上限を設けるといった条項が無効となる可能性があります。
そして、解除等の場合の損害賠償額の予定や違約金に関しては、例えば学習塾など中途解約で受講していない期間の授業料分も全額違約金となる条項や、結婚式場のキャンセル料などで契約時期に関わらず契約金額の大部分を占めるような高額な違約金を定める条項などが無効となる可能性が高いと言われています。
コメント
上述のように、以前のRIZAPの利用規約では、「利用料の引き落としエラー等の未払いがある場合、未払いが解消されるまで退会不可とする」条項が定められていましたが、現在では改定されており、「未払いがある場合でも退会できる一方、退会後も未払分の支払い義務は免れない」という内容となっているとされます。
このように、消費者契約法では民法等の任意規定よりも義務や責任を加重し、信義に反するような消費者に一方的に不利益を与える条項は無効としています。損害賠償の予定や違約金も同様に、同種の契約で想定される損害額の平均を超える部分や年利14.6%を超える部分は無効としています。
これらを踏まえて自社の利用規約に問題は無いか、社内で周知して見直しておくことが重要と言えるでしょう。
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