中国にWTO協定違反の裁定下る -レアアース問題にも影響するか?-
2011/07/06 海外法務, 海外進出, 外国法, その他
概略
中国による鉱物資源の輸出制限について、世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会は5日、WTO協定違反を認める方向書を発表した。中国を訴えていたのは米国や欧州連合(EU)で、中国は違反にはあたらないと主張していたが、それが退けられた形で、WTOの紛争処理において輸出制限をめぐる判断がなされたのは初めてとみられるとのことだ。
本件で問題となったのはアルミニウムの原料となるボーキサイトなどにかけた輸出税や数量制限であるが、より世間を騒がせていると思われる「レアアース」に関しても同様の展開となることが考えられる。すなわち、アメリカやEUはレアアースに関してもWTOへ提訴すると中国に警告しており、現状に変化が見られなければそれを実行に移す可能性があり、本件がそれに影響をあたえることは考えられる。
雑感
レアアースについては数日前に太平洋海底の泥に大量に含まれているとの発見があったそうだが、公海であることから日本が直ちに採掘を開始することはできない上に、採掘技術の確立とコストも問題である。それを考えると現状世界生産の97%を占めている中国にしばらくは依存せざるを得ない。中国とすれば自国の独占的な地位を用いて自国産業の競争力を高めたいところであろうが、WTOにも加盟し世界経済の大きな一翼を担う存在になった以上はそのような”エゴ”を貫き通すことは許されないだろう。今回の件を反省材料としてレアアース問題が解決されていくか注目される。
【関連リンク】
- 中国の鉱物輸出制限「違反」WTOが初の判断 -asahi.com-(リンク切れ)→アーカイブ
- 太平洋の海底にレアアース含有「夢の泥」発見 -msn. 産経ニュース-(リンク切れ)→アーカイブ
- 中国の原材料輸出制限はWTO協定違反-紛争処理小委が米欧支持(2) -Bloomberg.co.jp-
- レアアース -Wikipedia-
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