よつ葉乳業、金属線混入おそれのバターを約628万個自主回収へ
2025/04/17 コンプライアンス, 危機管理, 消費者契約法, 製造物責任法, 食品衛生法, 食料品メーカー

はじめに
よつ葉乳業株式会社は4月15日、「金属線が混入しているおそれがある」として、バター約628万個を自主回収すると発表しました。
過去にも食品に異物が混入したケースが報じられていますが、万が一異物混入があった場合、食品衛生法などに基づき行政処分や刑事罰を受けるおそれがあります。
“たわしのような異物”混入
今回、自主回収の対象となったのは、よつ葉乳業が北海道音更町にある十勝主管工場で製造した商品です。
具体的には、製造管理番号「CC」から始まるもので、「よつ葉バター 加塩 150g」、「CGC 北海道バター 150g」、「V マーク VALUE PLUS 北海道バター 150g」、「セブンプレミアム 北海道バター 150g」など小売りのプライベートブランドを含む13の商品、合わせておよそ628万個です。
よつ葉乳業によりますと、4月4日に「よつ葉バター 加塩 150g」を購入した消費者から『たわしのような異物がついている』と電話があったということです。
よつ葉乳業側が確認したところ、長さ1.8センチ、太さ0.07ミリのステンレス鋼であることが判明しました。工場製造ライン機器ベルト部品破損により、ベルト内の金属線が破断し、製品の一部に混入しているおそれがあるとしています。
今のところ、対象製品に関する健康被害の報告はないということですが、消費者の安全を最優先に考え、対象製品を自主回収することを決めました。
よつ葉乳業は「今後このような事故を起こさないよう、品質管理体制の一層の強化を図り、再発防止に努めていく」と謝罪しました。
過去には551の豚まんでも異物混入
過去にも食品に異物が混入した事例が報じられたケースは少なくありませんが、直近では、551の豚まんへの異物混入が記憶に新しいところです。
2024年3月17日、551の豚まんを製造・販売する「株式会社蓬莱」は、豚まんに樹脂が混入していたと発表しました。工場の従業員が同月16日に豚まんのあんに樹脂片が入っているのを発見し、その後、具に使用している玉ねぎの洗浄カットラインの水はね防止カバーの樹脂が欠損していることが分かったということです。
会社は生産ラインを一時ストップし、洗浄。翌朝から再び製造や販売を再開しましたが、大阪市内の店舗で従業員があんに樹脂片が入っていることに気付いたため、再び製造を中止しました。
万が一、樹脂を誤って食べたとしても、体内に吸収されることなく排出されるため問題はないとしていますが、蓬莱は計約30万個の豚まんの自主回収を行いました。
551蓬莱豚まん、異物混入で30万個を自主回収(企業法務ナビ)
法的な問題は?
食品への異物混入があった場合、一般的に、以下の規制が適用されます。
(食品が加工されているか否かなどの条件により、具体的に適用される規制は異なります。)
・食品衛生法
・製造物責任法(PL法)
食品・添加物への異物混入を発生させた事業者は、食品衛生法の規制で摘発される可能性があり、営業許可の取り消しや、会社名公表などの行政処分を受けることがあります。
(食品衛生法第59条第1項、第60条第1項、第69条)
また、故意に異物混入を生じさせた場合、刑事罰の対象となります。罰則は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金となっており、その両方が科されるケースもあります。
コメント
異物混入は、企業の食品衛生管理体制に対する信頼を大きく揺るがすもので、ときに企業経営にとって中長期にわたる致命傷ともなりかねません。さらに、損害賠償請求や、風評被害によるブランド毀損・取引先との関係悪化といった間接的な損失も発生するおそれがあります。
そんな中、自主回収を行うことで、将来的な訴訟リスクの低減や、信頼回復の第一歩とすることができます。
異物混入の事実の公表と回収のコストを伴うため、短期的にはマイナス面が強調されがちですが、長期的に見て、功を奏するケースも少なくありません。
異物混入発覚時には、自主回収を有力な選択肢として検討する必要があります。
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