発注品の受領拒否でシャトレーゼに勧告(下請法違反)
2025/04/02 契約法務, コンプライアンス, 行政対応, 下請法, 食料品メーカー

はじめに
洋菓子の製造・販売を行う株式会社シャトレーゼが下請業者に製造委託した包装資材などを正当な理由なく受け取らなかったのは下請法違反(受領拒否)に当たるとして、公正取引委員会は3月27日、シャトレーゼに対し、商品の受領や代金の支払いなどを勧告しました。
納品日過ぎても商品受け取らず
公正取引委員会の発表によると、シャトレーゼは洋菓子などに使う包装資材や香料の製造を下請業者11社に発注していました。
しかし、シャトレーゼは、下請業者から納品された商品に関し、必要と判断した分のみを受け取り、残りについては納入日を過ぎても受け取りを行わなかったといいます。
こうした受領拒否は常態化していたとされ、2024年12月30日時点で受領拒否した商品は計約2,383万円分、うち発注書上の納入日から1年以上が過ぎていたものが約1,300万円分に相当しました。
ちなみに、シャトレーゼが下請業者に対し支払いを行ったのは、受領分に限られていたといいます。
受領されなかった商品は、下請業者が無償で保管していたとされていますが、中には、廃棄したものもあったということです。
公正取引委員会は、長期にわたる保管費用や複数回発送するための運送費用が下請業者にとって過大な負担になっていたと指摘したうえで、シャトレーゼ側の一連の行為は、下請法が禁じる「不当な経済上の利益の提供要請」にも当たるとしています。
■不当な経済上の利益の提供要請とは?
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・下請事業者からいまだ受領を拒んでいる本件商品を受領すること
・本件商品を受領することができない場合、当該本件商品の下請代金相当額を支払うこと
・本件商品を保管等させることによる費用に相当する額を支払うこと
・下請法の遵守体制を整備すること
シャトレーゼ側は勧告を受けてコメントを発表。下請法への認識不足を認めた上で、リスクの抑制やモニタリング不足があったとして謝罪しています。
なお、シャトレーゼ側が当初受け取りを拒絶した商品については、3月27日時点でシャトレーゼ側が受け取る準備を進めているということです。
また、保管にかかった費用や廃棄コストについても公正取引委員会に確認しつつ、それぞれの下請業者との間で支払いに向けた話し合いが進んでいるとしています。
下請法が禁じる「受領拒否」とは
今回、問題となったシャトレーゼによる受領拒否。
下請法では、親事業者が下請事業者に対して委託した給付の目的物について、親事業者が、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに受領を拒むことを禁止しています(下請法第4条第1項第1号)。
受領拒否の典型例として、以下が挙げられます。
・納期を延期することで、下請事業者と発注時に定めた数量の全部または一部を納品日に受け取らないケース
・発注の取り消し(契約の解除)を一方的に行うケース
下請事業者の保管の負担を軽減するため、親事業者として、契約時に納品後の対応を明確に取り決め、一定期間内に受領を完了するルールを策定することが求められます。
コメント
今回のシャトレーゼの事例は、親事業者としての義務を怠った典型的なケースといえます。発注管理のルールを整備し、受領プロセスにおけるコンプライアンスを徹底する必要があります。
昨今、公正取引委員会が下請法違反に対する取り締まりを強化しています。他社の違反事例を分析し、自社のリスク管理体制に反映させることが重要です。
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