日本郵政“すっぴん”の女性題材の動画を公開し物議
2025/03/17 コンプライアンス, 広告法務

はじめに
日本郵政株式会社が運営するXの公式アカウントで投稿した動画が、一部で物議を醸しました。動画では荷物を配達してきた配達員と、“すっぴん”女性とのやりとりが描かれています。
しかし、女性が化粧をしていない顔を見せないよう、四苦八苦する姿に、「女性をバカにしている」とする声が上がったものです。
日本郵政は動画を削除し、謝罪しました。
女性の“すっぴん”題材の動画削除
議論を呼んだのは「絶対にすっぴんを見られたくない女VSなんとかサインをもらわなければいけない配達員」という動画で、3月5日に投稿されました。
動画は、「ゆうパック」の荷物を持った配達員の男性と、それを受け取る女性との玄関ドア越しのやりとりにフォーカスしたものでした。
配達員が女性に受領印・サインを依頼するものの、女性は「スッピンなんです」と化粧をしていない顔を見られるのをためらいます。一方、配達員はどうにか女性と顔を合わせずに受領印をもらおうと頭を悩ませます。途中で、女性はおもちゃのマジックハンドを使うなどして、とにかく顔を見られないように工夫する姿がコメディタッチに描かれました。
約2分の動画に対し、Xでは「女性蔑視がひどすぎる」「すっぴん=恥という固定観念を助長している」などの声が上がりました。一方で擁護するコメントも寄せられ、「やり取りをコメディ風に描いただけ」など、批判ばかりでは創作が生まれなくなるのではないかと懸念する意見もありました。
こうした中、日本郵政は動画を削除。3月6日に公式Xで「弊社Xアカウントで投稿した動画に関して様々なご意見をいただきました。それらを真摯に受け止め、当該動画を削除いたしました。今後は細心の注意を払い、再発防止に取り組んでまいります。」と謝罪しました。
赤いきつねウェブCM 性的と批判
女性をめぐる広告では、日本郵政が動画を投稿する1ヶ月前にも、一部で炎上した広告がありました。
2025年2月、東洋水産株式会社の公式Xアカウントが投稿したカップ麺「赤いきつね」のウェブCMです。“性的”だとして、SNSを中心に賛否の声が上がりました。
ウェブCMは約30秒のアニメ動画で、若い女性が自宅で「赤いきつね」を食べる様子が描かれています。女性は露出の少ない服を着ていて一見、性的には見えません。それでも広告が“性的”だとして批判が寄せられたのには、女性の表情の描き方にありました。動画では女性がうどんをすする際に頬を赤らめたり、目を潤ませたり、口元を強調するなどの描写があったのです。SNSでは「男性視点で描かれている」、「気持ち悪い」、「性的なアピールではないか」などと不快感を示すコメントが投稿されました。一方で「性的には思えない」、「単に熱さを表現しただけ」、「過剰反応だ」と炎上が理解できないとウェブCMを擁護する投稿も少なくありませんでした。
広告を意図せず炎上させないために
あえて炎上させて認知を高める「炎上商法」などもありますが、炎上事例の多くは、意図せず炎上してしまうケースがほとんどとされています。広告が炎上しないために、次のような対策を講じることが推奨されます。
・制作現場に多様な意見を取り入れる
・社会的なトピックやセンシティブなテーマは専門家に意見を求める
(ジェンダー、人種や国籍などの差別や人権侵害を助長する恐れがあるため)
・社内体制を見直し、制作チーム以外の社員が広告をチェックできるようにする
コメント
思いもよらぬ批判を巻き起こす炎上広告。万が一炎上が起こった際には、企業の信頼やブランドイメージを守るため、迅速かつ適切に対応することが重要です。
その意味で、他の広告よりも情報量の多い“動画広告”を投稿した直後は、ひとまず、SNSでの反応を観察しておくことが重要です。
もっとも、投稿後、しばらく経ってから炎上するケースもあります。
炎上発生後の対応部門・対応フローをあらかじめ固め、即座に対応できる体制を構築することが推奨されます。
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