タレント・スポーツ選手のオンラインカジノ賭博事例が相次ぐ
2025/03/10 労務法務, コンプライアンス, 危機管理, 刑事法, プロバイダ責任制限法, IT

はじめに
2月初旬、吉本興業ホールディングス株式会社に所属するタレント2名がオンラインカジノで違法賭博をしていたとして、警察から事情聴取を受けていると報じられました。その後、他のタレントも関与していることが明らかとなっています。
これに先立つ1月には卓球の元五輪代表選手が書類送検され、2月21日までに千葉区検は賭博罪で略式起訴しています。千葉簡裁は罰金10万円の略式命令を出し、罰金は即日納付されています。
この他にも、プロ野球界でも選手のオンラインカジノの利用が確認されています。
有名人を中心に一気に噴出したオンラインカジノ問題。オンラインカジノで賭博をした場合に問われる罪などをみていきます。
芸能界、スポーツ界で利用者、事情聴取受ける人も
吉本興業に所属している複数のタレントがオンラインカジノで賭博をした疑いがあるとして警視庁から任意の事情聴取を受けていると報道されました。関与が疑われるタレントらは芸能活動を自粛しています。
この問題を受けて、吉本興業は2月27日、公式ホームページを通じて謝罪を行いました。タレントについては、外部の弁護士を交えて複数回ヒアリングを実施するなど事実関係を調査中としています。最終的な処分は捜査結果などを踏まえて下されますが、事実関係が確定するまでは、芸能活動を自粛するとしています。
吉本興業のほか、株式会社タイタンも所属タレント4人がオンラインカジノを利用していたと発表。違法なギャンブルに対する社内教育が不十分で、該当者が出てしまったことを謝罪しました。
オンラインカジノ利用の波は芸能界に留まりません。大阪に本拠地を置くオリックス・バファローズでも、所属選手によるオンラインカジノ利用が判明しました。
これを受け、日本プロフェッショナル野球組織は2月20日、全12球団の所属選手・監督などの球団関係者に向けて、「オンラインカジノを利用したことがある場合には自主的に名乗り出るよう」呼びかけを行っていましたが、その結果、26日までに計7球団から報告があったといいます。利用者の数は計14人で、いずれも2022年2月以降の利用だということです。
オンラインカジノとは
そもそもオンラインカジノとは、スマートフォンやパソコンなどを通じ、オンライン上でゲームを行い、その結果に対して現金や暗号資産、電子マネーなどを賭けるものです。ゲームの種類としては、いわゆる“カジノ”と聞いて連想するスロットやカードゲームのほか、スマートフォン用のパズルゲームや格闘技・スポーツなどの勝敗を競うものもあります。
海外にはオンラインカジノの運営サイトが多く、近年は日本人をターゲットにした日本語のサイトも増えています。そのため、日本からサイトに接続して、賭博に参加し検挙される事例が相次いでいるのです。
報道によりますと、2024年に、オンラインカジノの賭博に関与したとして摘発された国内の利用者・業者は計279人(暫定値)にのぼるということです。これは、2023年比で約3倍の数字となります。また、有識者の中には、「国内利用者は既に300万人を超えている」と推計する声もあります。
しかし、オンラインカジノを利用することで、賭博罪または常習賭博罪に問われる可能性があります。賭博罪は「50万円以下の罰金又は科料」、常習賭博罪では「常習として賭博をした者は3年以下の懲役」となっています。
バカラ、スロットなど、名称や内容にかかわらず、オンライン上で行われる賭博は犯罪となります。そのため、仮に海外で合法的に運営されていても、日本国内から接続して賭博を行うことは許されていません。
コメント
手軽にオンラインカジノに参加できる環境が整う現代社会。自社の従業員が賭博に手を染める(または染めている)可能性も否定できません。
今年1月以降、スポーツ選手やタレントらの関与についての一連の報道で、オンラインカジノへの違法性の認識は高まっているといえます。
これを機に、社員の賭博関与に関する調査や、オンラインカジノの違法性を周知する社内研修を実施し、リスク管理を行なっていくことが重要になります。
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