サンリオ 人気キャラクター「クロミ」の著作権をめぐりアニメ制作会社が提訴
2025/03/03 契約法務, 知財・ライセンス, コンプライアンス, 著作権法, エンターテイメント

はじめに
株式会社サンリオは2月25日、公式サイトで人気キャラクター「クロミ」の著作権などを巡り、株式会社スタジオコメットから訴訟を提起されていることを明かし、声明を発表しました。
クロミの著作権めぐり訴訟
「クロミ」はサンリオの人気キャラクターの一つです。サンリオが行った2024年の人気キャラクターランキングでは、3位にランクイン。上位常連のハローキティやマイメロディよりも上位となりました。日本だけでなく、海外でも関連グッズが販売され、世界的な人気となっています。
クロミは2005年の「マイメロディ」テレビアニメ化の際、マイメロディのライバルとして誕生しました。報道などによりますと、このアニメ制作の依頼を受けたのが、今回の訴訟の原告であるスタジオコメットでした。
スタジオコメットは、サンリオからアニメ化の承諾を得た企画会社らが立ち上げた制作委員会にも参加。このアニメ制作の過程で、クロミが発案されたということです。
スタジオコメットの社内には、スタジオコメット所属のアニメーターが描いた初期のデッサンが残っており、「クロミ」という名前を決めるまでに様々な案が出たことなどを同社の社長が取材で答えています。
しかし、2023年にサンリオがクロミのファンブックを出版した際、ファンブック中に「クロミの作者がサンリオのデザイナーである」との記載がありました。さらに、販売されたクロミのグッズにも著作・販売元としてサンリオの表記しかありませんでした。
こうした問題を受け、サンリオ側からは2024年9月に「認識の相違があり、お詫びをしたい」などと、話し合いについて連絡があったといいますが、スタジオコメット側は、今回、グッズ販売のホームページ上での謝罪広告の掲載などを求め提訴しました。
スタジオコメットは訴訟を通じて、著作者を明確にしたいと考えているとのことです。
サンリオ側が訴訟提起を受け声明
サンリオ側は訴訟を提起された事実を認めつつ、「クロミ」の著作権は関連する契約などによって明確に自社に帰属しており、著作者人格権についても適切に処理されていると主張しています。
サンリオによると、スタジオコメット側の主張について慎重に協議を行ってきたものの、スタジオコメット側に見解が受け入れられず、今回の訴訟に至ったとしています。
サンリオは、長年、キャラクターなどの知的財産権の取り扱いについて適切に対応してきたことを、今後は法廷で明確に伝えたいと述べています。
他のキャラクターも過去に著作権で訴訟に
サンリオのキャラクターを巡っては、過去にも裁判になっています。
裁判では、「けろけろけろっぴ」が、原告のデザインしたカエルのキャラクターの著作権を侵害しているか否かが争われました。
これに対し、裁判所は、カエルを擬人化したキャラクターをデザインする際に「顔、目玉、胴体、手足によって構成されることになることも自明である」と指摘。原告の著作物における基本的な表現自体には、著作者の思想や感情が創作的に表れているとはいえないとして、両キャラクターデザインの類似性を否定し、原告の訴えを棄却しました。
ケロケロケロッピ事件(東京高裁 平成12年(ネ)第4735号 損害賠償等請求控訴事件)
コメント
人気の高いクロミを巡る今回の訴訟。アニメ制作の過程で生まれたキャラクターの権利がどこに帰属するのかなど、裁判の行方に注目が集まります。
キャラクターの人気が高まるほど、権利関係のトラブルも増える可能性があります。あらかじめ、丁寧に権利の帰属先を確認することが重要になります。
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