特定商取引法違反を繰り返したフリマ販売サポート会社に3ヶ月間の一部業務停止命令
2025/02/04 契約法務, コンプライアンス, 行政対応, 消費者取引関連法務, 特定商取引法, IT

はじめに
フリマサイトでの商品販売サポートを行う2社に対して、消費者庁は1月23日、特定商取引法に基づく業務停止命令を出したと発表しました。
2社に関する相談件数約500件
消費者庁の発表などによりますと、今回、業務停止命令を受けたのは、フリーマーケットサイトでの販売サポートなどを行う電話勧誘販売業者、株式会社ディプセル(大阪市中央区)と株式会社ウィリング(大阪市淀川区)です。
2社は連携共同して、「お家での簡単なお仕事」などとインスタグラムに投稿したうえで、投稿内で案内していたLINEにお友だち登録したユーザーに対して自社の名称を明らかにせずに電話連絡(特定商取引法第16条:販売業者及び役務提供事業者の名称の不開示)。
タブレットケースやソファカバーなどの滞留在庫を詰め合わせた「アソートボックス」を仕入れ、これをユーザーがフリマサイトで販売し利益を得るという儲け話を持ち掛けたといいます。二社は、ユーザーとの間での「アソートボックス」の売買契約を結んだうえで、有償での販売サポート(役務提供)を行っていたということです。
しかし、2社は少なくとも2023年3月から同年9月までの期間、ユーザーに対し契約内容がわかる書面を交付していませんでした(特定商取引法第19条1項:書面の交付義務違反)。
また、実際には可能であるにも関わらず、「事業主として見ているので、クーリング・オフなどはない」などと虚偽の説明を行っていました。
加えて、「1年以内に解約すると、残りの月数分の料金を違約金として支払う必要がある」、「違約金が生じないよう解約するためには秘密保持契約書(既に支払った金銭の返還を免除する内容などを含む内容)の締結が必要である」などと伝え、解約を困難にしていたということです(特定商取引法第21条1項:役務提供契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為)。
消費者庁は2社の行為は特定商取引法違反にあたると判断。同法第23条1項の規定に基づき、電話勧誘販売に関する勧誘・申込受付および契約締結といった業務の停止を命じました。業務停止の期間は1月23日から4月22日までの3か月間となっています。
さらに、2社それぞれの代表取締役に対しても、同期間、業務停止命令で停止を命じた一連の業務を新たに始めること(これらの業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む)などを禁じる命令を出しました。
消費者庁によりますと、主に20〜30代の女性などから2社に対する相談が多数寄せられており、これまでに寄せられた相談は約500件にのぼるということです。
急成長する「C to C-EC市場」
消費者と消費者との電子商取引である「C to C-EC市場」。経済産業省が発表した『電子商取引に関する市場調査』によると、2018年に1兆5891億円だったC to C-EC市場の市場規模は、2023年には2兆4817億円と急激な伸びを見せています。
消費者庁が2024年に発表した「消費者白書」でも、フリマアプリやオークションサイトなどの利用経験があると答えた人が全体の約6割、出品経験のある人は約4割にのぼるという結果が紹介されています。
2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大の影響で外出自粛が呼びかけられ、人々の在宅時間が伸びましたが、それにより、自宅にある物の整理や不用品処分のニーズが高まったことが、C to C-EC市場の急拡大の原因と分析されています。
コメント
急拡大している市場にはビジネスチャンスが多い分、新規参入者も増える傾向があります。しかし、事例の蓄積が少ない分、規制法令の見落としや法令解釈の誤りなどにより、行政処分を受けるリスクが高まります。
やろうとしているビジネスに関し、消費者・取引先とどのようなコミュニケーション・法律関係が発生し、各場面でどのような法的規制が行われているのか。事前の丁寧な精査と、それに応じたコンプライアンス体制の構築が求められます。
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