コンピューターウイルス作成罪が成立!
2011/06/17   情報セキュリティ, 法改正対応, 法改正, 刑事法, その他

改正のポイント

改正刑法は、ウイルスを「意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」などと定義。正式名称は「不正指令電磁的記録作成罪」などとした。正当な理由なくウイルスを作成したり提供したりする行為は3年以下の懲役か50万円以下の罰金とし、取得したり保管したりする行為も2年以下の懲役か30万円以下の罰金とした。わいせつな画像を電子メールで不特定多数に送信する行為も処罰対象に追加された。また、改正刑事訴訟法により、コンピューターのデータを差し押さえる場合は、捜査対象のコンピューターで作成されたデータに限られる。また、捜査機関がインターネットの接続業者に対し、犯罪に関係した電子メールの通信履歴を消去しないよう求める際は、最大で60日間を超えない範囲に限定される。

改正の意義

警察庁によると、ウイルス被害の全国の相談は2006年からの5年間で計約1200件。直接取り締まる罪名がなかったため、器物損壊罪や詐欺罪を適用して検挙できたのは7件だけだった。警視庁が昨年8月に摘発したタコイカウイルス事件でも、捜査当局はパソコンの文書作成機能が失われる点などに着目し、器物損壊容疑で27歳の男を逮捕した。これまで捜査当局は「パソコンに意図的に侵入させた」「記録を破壊した」など各段階を立証し器物損壊罪を適用するなど苦心を重ねてきたが、今回の改正により、作成をつかんだ段階で立件が可能になる。また、日本が01年に署名した「サイバー犯罪条約」を批准するためには、違法アクセスやウイルス製造、児童ポルノ頒布を犯罪として定めることが求められており、日本は正式加盟に至っていなかった。刑法改正案などの成立後、国は速やかに手続きに入る方針。

今後の課題

ウイルス作成罪は実害の発生に先手を打つ捜査に欠かせない武器になる。目に見えない電子データを目に見える形で差し押さえることができるようになった点でも、今後のサイバー犯罪捜査に有効と言える。その一方、通信履歴の保存が憲法によって保障される通信の秘密を侵害するおそれがあるとして、参院法務委員会は法律の適切な運用を求める付帯決議を採択している。また、捜査側に認められる裁量が広く、それを抑止するチェック体制もないとの指摘もある。利用者が拡大するスマートフォンを狙ったウイルスも目立ち始めている現在、救世主として期待したい。

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