公取委、独占禁止法違反疑いでVisa日本法人を立入検査
2024/07/22 コンプライアンス, 行政対応, 独禁法対応, 独占禁止法, 金融・証券・保険

はじめに
クレジットカードの世界最大手「Visa」の日本法人が独占禁止法に違反した疑いがあるとして、公正取引委員会が7月17日に立ち入り検査に入ったことが関係者への取材で分かりました。
決済の信用照会で自社サービス利用を強いたか
公正取引委員会が立ち入り検査に入ったのは、国際的なクレジットカード会社Visaの日本法人「ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社」です。
前提として、クレジットカード決済にあたっては、①国際ブランド、②カード発行会社、③加盟店管理会社の3者が関わることになります。
①国際ブランド
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例えば、買物時など、客がクレジットカードで支払いを行う場合、
(1)客が加盟店にてクレジットカードを提示
(2) 「③加盟店管理会社」は、決済システムを用いて、「②カード発行会社」に対し、クレジットの信用照会を行う(不正利用や偽造の形跡、カードの有効期限、利用可能額の超過有無などを確認)
(3)カードが有効であると確認されると、決済が成立。
(4) 「③加盟店管理会社」は「②カード発行会社」へ、①国際ブランドが定めたIRF(インターチェンジフィー)を支払い。
(5)「③加盟店管理会社」から加盟店に代金支払い。
という流れをとります。
こうした中、「①国際ブランド」であるVisa側は、遅くとも数年前から、提携先に対し、照会時に、自社決済システムを用いるよう要求していたということです。また、ライバル社の決済システムで照会した場合は、決済時に「③加盟店管理会社」が「②カード発行会社」へ支払うことになるIRF(インターチェンジフィー)を引き上げることを、説明会や文書などで伝えていたということです。
ちなみに今回、Visa側より要求を受けたとされる提携先として、三井住友カード、楽天カード、セゾンカードなどの名が報じられています。
いずれも、IRFの上昇で利益が減ることを恐れ、不当な要求に従わざるを得なかったということです。
クレジット決済手数料にメスか
2023年時点で、日本におけるキャッシュレス決済の比率は39.3%に達しており、そのうち8割超がクレジット決済とされています。
一方で、「加盟店手数料の約7割をIRF(インターチェンジフィー)が占めている」という声もあり、クレジット決済に伴う手数料の高さが、特に中小事業者にとって、キャッシュレス決済導入拡大の壁となっているという声もあります。
こうした問題の解決を図るべく、公正取引委員会は、IRFの標準料率を定めている国際ブランドについて、日本国内においてもIRFの標準料率の公開を促す動きを見せています(海外60ヶ国超では1社以上の国際ブランドが公開)。
実際、公正取引委員会の働きかけもあり、近年、Mastercard、UnionPay(銀聯)、Visa、JCBなどからインターチェンジフィーの標準料率が公開されています。
関連して、公正取引委員会は、2022年4月には、「クレジットカード市場の動向について注視するとともに、独占禁止法違反行為に対しては厳正に対処する」旨表明しています。
そんな中で発覚した、VisaによるIRF引き上げをチラつかせた独占禁止法違反疑惑。公正取引委員会には、徹底した調査が求められます。
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