10月1日から施行、改正育児・介護休業法について
2025/09/04 労務法務, コンプライアンス, 労働法全般

はじめに
令和6年改正の育児・介護休業法の一部がまもなく施行されます。子供を養育する従業員に対し一定の措置を講ずることが義務付けられます。
今回は改正育児・介護休業法の概要を見ていきます。
改正の経緯
今回の育児・介護休業法の改正の趣旨は、男女を問わず仕事と育児・介護の両立ができるよう各種制度を整えることです。
改正の内容は大きく3つに分けられており、(1)子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、(2)育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化、(3)介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等となっています。
これらは段階的に施行されることとなっており、一部は公布即日である令和6年5月31日に、次に今年4月1日に、そして最後に今年10月1日となっています。以下具体的に見ていきます。
既施行分の改正点
(1)子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置
子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充に関しては大きく5つの改正項目がありますが、このうち3つが既に施行済みとなっています。
まず、所定外労働の制限(残業免除)の対象となる労働者の範囲を小学校就学前の子(以前は3歳まで)を養育する労働者にまで拡大されています。また、子の看護休暇について、子の行事参加等の場合にも拡大され、対象となる子の範囲も小学校3年生(以前は就学前)まで拡大するとともに、勤続6月未満の労働者については労使協定で除外できる仕組みが廃止されています。
そして、3歳になるまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容にテレワークが追加されました。
(2)育児休業の取得状況の公表義務の拡大は次世代育成支援対策の推進・強化
次に、育児休業の取得状況の公表義務の対象が常時雇用する労働者数が300人超(以前は1000人超)の事業主に拡大されています。
次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定時に育児休業の取得状況等に係る状況把握等に係る状況把握・数値目標の設定が事業者に義務付けられました。また、次世代育成支援対策推進法の有効期限も令和17年3月31日まで10年間延長されています。
(3)介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化
労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことが事業主に義務付けられました。また、労働者への両立支援制度等に関する早期の情報提供や雇用環境の整備を事業主に義務付けています。
介護休暇についても、勤続6月未満の労働者を労使協定で除外する仕組みが廃止されています。そして、家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容にテレワークが追加されました。
10月1日施行分の改正点
上でも触れた子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充で、10月1日からさらに2つの改正点が施行となります。
まず、3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択して無理なく利用できるようにすることが義務付けられます。
また、これらの措置の個別の周知と意向の確認も義務付けられます。この措置は具体的には始業時刻等の変更、テレワーク、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇の付与、短時間勤務制度となります。これらのうち2つを選択することとなります。
次に、妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を事業主に義務付けられます。
コメント
以上のように、令和6年から段階的に施行されてきた改正育児・介護休業法の最後の部分について、10月1日から施行となります。
今回の施行により、3歳~小学校就学前の子を養育する労働者について5つの措置から2つを選択し、対象となる労働者はそこから1つ選択することができます。また、この選択については過半数組合等から意見聴取をする必要もあります。
さらに、労働者本人やその配偶者が妊娠・出産の申出をした時には、勤務時間帯や勤務地、両立支援制度の利用期間、両立に関する就業条件などについて意見聴取も必要です。
既施行分も含め、改正の趣旨を踏まえて準備していくことが重要と言えるでしょう。
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